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03.Cage




「今回は暴れらんないな〜こりゃあ;」







ブリーフィィングルームにてラザードから手渡された上層階への出入りができるガードとその"コトリ"についての簡素な資料。
どうやらソイツについての内容は秘密らしい。

ザックスは上層階へ行く途中、社内に普通に置かれているごみ箱の中へ資料を無造作に捨てた。



神羅でこんなことをするのはザックスと英雄セフィロスぐらいだろう。







「はてさて、そんじゃ気合い入れて見回りでもしますかー」







広いフロア内、建て付けは他のフロアとは変わらない。
ただちょっと高そうな装飾が少しされているだけだ。

ザックスはあまり興味もなくただただ廊下を歩いていた。






「つーか1st全員がいないとか、社長はなんの会議に出掛けたんだか…」






セフィロスはともかくほとんどの1stがいないことは稀である。
友達のアンジールさえいないということはかなりの重要機密なのだろう。







「に、しても…なんもねぇじゃん!!!」







予想していた雰囲気とは全く逆で、辺りはシンと静まり返っていた。
敵も出ないし危機感ゼロ!!!!

1stがつくくらいならお転婆か凶暴か、あるいは脱走を強烈に志願しているものとしか考えられない訳で…若干がっかり。



少なくともすでにザックスは帰りたいと思い始めていた。












―――――――――リン…















どこからともなくたくさんの鈴が鳴り響く音が聞こえた。

ソルジャーとなれば通常の人には聞こえない微細な音も聞き取れる。

ザックスは緊張を持ちながらその音がする方へと歩き出した。








―――――――リン…










――――リン…
































――リン…









鈴の音が徐々に近くなり歩を進めるとそこには………








「すげぇ………これって、マジで"トリカゴ"じゃん」








そこには天井を突き抜け2、3階分はある長細くてデカイガラス張りの大きな檻があった。
外観はその名の通り"トリカゴ"。

呆気に取られていると上から白い何かがガラスの近くに降り立ったのが見えた。






『………アンタが今日の警備?』





透き通った声――…

誰もが息を飲み欲しがる綺麗な声。
そうザックスは思った。






『アンタ…ソルジャーだろ、早く消えて』

「はぁ?いきなり会って消えろはないだろー?
つーか!アンタアンタって、俺にはザックスっていうちゃんとした名前があんの!」

『興味ないね』

「Σちょ、ひでぇーなー(苦笑)」






何処かの誰かみたいな氷のように冷たいノリについつい笑ってしまう。

ある程度の冷たい仕打ちは銀髪の彼から何度もされて慣れっこだからだ。
だってあっちは時にブリザードだし。。。

ザックスは有無も聞かずトリカゴへ近付き数メートルを残してその場にあぐらをかいて座り込んだ。







『…何?』

「お前と話そうと思って♪」

『いらない、帰れ』

「それは困る!俺もお前を任されてるし帰れないのー」

『………』

「それに俺、お前に興味が沸いた♪」

『…身勝手だ』

「俺だしー」

『………』








それからというと俺が一方的に勝手に喋っていた。
何処から来たーとか好きな食べ物はーとか、この間美味いメシ屋を発見したー…とか。

他愛もない話を延々と――…






「……よし!じゃ、今日はそろそろ帰るな?」

『…………なぁ、』

「ん?」






数時間ぶりに声を聞いた。
腕を頭に組んでけだるい身体を伸ばし帰路につく彼を呼び止める。






『………いや…別に』

「なんだそれ?(笑)
まぁ気が向いたらお前からも話してくれよな!おそらく一週間は社長帰らねーと思うし」

『………』

「んじゃ、また明日な?」







そう陽気な声で告げるとザックスは手を振りフロアを出て行った。




















『神羅にも血の通った奴がいるんだな…』







右肩の痛みに堪えガラス張りの天井を見つめ、呟く。

誰も聞くことのない声が空気に飲まれていった。



まさかこの瞬間から歯車が動き出したとは知らずに―…


end

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あきゅろす。
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