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20.sky




『神羅本社にジェネシスコピー出現』



神羅内が震撼させられた。
人体コピーの実験をしていたガスト博士の研究は次々とコピーを生み出した。
それは片翼の生えた未完成な媒体。
それが一匹二匹どころではなく数千体以上。




「同じ自分の顔のハーレムなんて嬉しくないぞ、と」



赤髪の青年が今回の仕事の内容を書類から読み取り頭を掻いていた。

内容はコピーを量産している施設の追跡。
容易のようで容易でない仕事。
相棒のルードも腕を組んで壁にもたれ掛かったままだ。

上層部からの命令は絶対。
タークスに失敗は許されない。



「ヘリは用意してある。エリア258から゛くまなく捜せ゛だ」

「…こりゃシラミ潰しにやるしかないぞ、と」

「……あぁ」



ヒラヒラと書類を扇がせると、レノは書類を廊下のごみ箱へ捨てた。

























「おねぇちゃん」

「なぁに?」

「今度は天使じゃなくてでっかい犬だね」



伍番街スラムの教会。
その日は雨でもなく雪でもなく、
人が降って来ました。



「なんで此処はこんな人が堕ちてくるんだろうね?」



神様に聞きたいくらいです。

取り敢えずお花がクッションになってくれたからそんなに大きな傷は無いみたい。

前のようにそんな重くない子を運ぶのはたやすいものだったが今回の黒髪の彼を運ぶのは容易ではない。
仕方なく目を醒ますかわからないが濡れたハンカチを額に乗せてやった。



「……ん………んー…っ」

「あ、気付いた?

もしもーし…もしもーし」



顔を覗き込みながら幾度も声をかける。
こんなにも早く意識が戻るなんて…

彼は唸りながらも徐々に意識を取り戻し蒼い双眸が宙を見詰めた。



「ここは…」

「教会。君、堕ちてきたんだよ?」

「堕ち…」




(そうか…ジェネシスのコピーにビルから落とされて…)




「取り敢えず生きてて良かったね?
私、エアリス。君は?」

「お、おう、俺はザックス。ありがとうエアリス」




人懐っこい微笑み。
嘘をしらないかのように純粋な…
けど、どこか寂しそうな微笑み。

あの子とどこか似てる―…そんな気がした。




「そーかープレートから落ちたのか〜、よく生きてたな〜俺っ」



呑気に頭を掻いている姿に呆れてため息しか出ない。
緊張感のない彼に不思議なことに警戒心は消えていた。



「お花。

お花がクッションになって助けてくれたんだよ?」

「へぇー…うわ、そりゃ悪いことしたな;」

「ううん、お花って強いんだよ?潰されても潰されても生きようとまた立ち上がるの」



折れた花の少し先を指差す。
そこには懸命に再生し花を咲かそうとする凛とした姿。

その強さに心が惹かれた。



「ザックス、天使って信じる?」

「天使?」



いきなりエアリスの口から予想もされない言葉が飛び出した。
意味が分からずザックスは首を傾げる。
天使といえば神話の中での純白の翼を生やした者。

だとしたらアンジールは天使であって欲しい…

心の底で、小さく願った。




「実はね、数日前、突然白い天使が堕ちてきたの。ザックスと同じように天井を突き破ってズドーンって。おかげでオンボロ教会なのにもっとボロボロになっちゃった」

「わ、悪い!;」

「ううん、嬉しいの。
そのコとの出会いもザックスとの出会いもここがあったからここのおかげだから。
たくさんの思い出、刻まれてく感じがするから」




くるりと身体を回転させて空を見上げる。

そこには厚い厚いプレート。
蒼い空はそこには無い。



「…エアリスは空を見たことあるか?」

「…空は怖くて…見たくないの。だっと吸い込まれそう」

「そっか…だったら今度一緒に見に行かないか?」



合わさり交わる視線。
真っすぐで曇りのない純粋な瞳。
深い海のような高い空のようなとてもとても綺麗な蒼。



「ザックスの瞳、空みたいに蒼くて綺麗」

「そうか?」

「うん、その空なら私好きだな」

「そんなこと言われたの2人目だ…ありがとう」

「どういたしまして」





二人肩をならべ空を見詰めた。

何故か光射すこの教会から見える想像の中の空を。





END

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あきゅろす。
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