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ダイヤ・錻力の小説
逆行した降谷暁in桐湘4

【桐湘対栄春】


 春季大会ベスト8進出をかけた試合の相手は、去年の神奈川県予選準優勝の強豪麻生西高校を17対15で下した、野球では無名の進学校である栄春高校だった。



 思わぬ番狂わせに桐湘ナインは困惑していたようだけど、野球では往々にしてそういうことがある。

 市大三高が薬師に負けた時もそうだし、稲実が鵜久森に負けた時だってそうだ。


 日曜日、試合開始前のミーティングで発表された栄春戦のオーダーは、


一番 ライト 児島センパイ(2年)

二番 ショート 柊センパイ(2年)

三番 レフト 頭木センパイ(3年)

四番 サード 弐織センパイ(2年)

五番 ファースト 安保センパイ(3年)

六番 キャッチャー 宇城センパイ(3年)

七番 センター 清作くん(1年)

八番 セカンド 楠瀬センパイ(2年)

九番 ピッチャー 之路センパイ(3年)


 昨日三回戦で登板した僕は今日は休めということでオーダーから外れている。


 だけどスターティングメンバーに初めて選ばれた清作くんは何故かミーティングにいなかった。

 弐織センパイも・・・。

 ミーティングが終わる頃になってやっと二人が現れたから、久澄監督がホッとした様子で言った。


「ああ、良かった清作君。今日七番センターでスタメンよろしくです」


「ミーティングに遅れるようなヤツ外した方がいいスよ、監督」

 遅刻の理由を聞かず要件だけ言った監督に伊奈くんが忠告すると、弐織センパイが凄いオーラを出しながら伊奈くんに凄んだ。

「伊奈テメー俺に言ったのか」



「違います!!サーセン!!」

 伊奈くんは脂汗をだらだら垂らして否定した、とばっちりかわいそうに。


 一方、漫画みたいなやり取りを全然気にしてない様子で清作くんは言った。

「は!?マジスか監督」


「マジッス。新戦力を試すのも春季大会の目的の1つですから」

 ニコニコしてマジッスとか言っちゃうんだ・・・・

 そこにはちょっとひくけど、入学間もない一年生を早速使っているのも頭がやわらかい監督だからなんだろうな。

 まあ、何も実績がなかった僕を関東大会でいきなりデビューさせた片岡監督も相当だけど、あれはチーム事情が悪かったせいもあるから、特別チームの状態が悪い訳でもないのに久澄監督がいろいろ考えてくれているのはすごくありがたいことで、桐湘に来て良かったかもしれないと思う。


 監督相手にマジスかとか平気で言っちゃう清作くんは全く物怖じしなくて、青道ではなぜか天然扱いされていた僕よりよっぽど天然だ。

 

「もうベスト16まで勝ち上がって夏のシード権は手に入ってる。言ってみりゃ消化試合だからな」

 安保センパイがやる気なさげに言った。

 夏のシード権は昨日無事に手に入れた。

 春季大会は関東大会にはつながってるけど、逆に言うと関東大会は夏の甲子園にはつながってないから夏本番前に同じ県内で手の内を見せたくないから控え中心で編成したりするというのは聞かない話じゃない。

 夏直前合宿中、稲実と練習試合した時、川上センパイが投げて僕が外野手やったりしたああいう感じってこと?


 でも、監督は優勝目指すって言っていた。


 エースと四番がすごく微妙な顔つきなのを見ると監督や主将、四番の弐織センパイは優勝狙っていて、消化試合とは思ってないようだ。

 去年ベスト8の桐湘にとって、一つでも先に駒を進めて経験を手に入れるのが大事なのでそんなこと言っている余裕ないんだよね。

 分かります。


「今日は俺がライトにまわる。超広守備範囲でセンターまでカバーしてやるから安心しろ」

 児島センパイが清作くんに今日のオーダーの話をしている。

 清作くんを出すためにわざわざオーダーを変えてるんだ、そういえば。

 

「児島先輩・・・アザッス。けどセンターならシニアの時にやってるんで余計なお世話ッス」

 うわ〜。

 やっぱり天然だ、この子。

 僕が精神年齢高二だからというのをおいといても、清作くんは敬語も下手だしひどく幼く感じる。


「日本語ヘタかクソ天然」


 児島センパイはもう慣れた感じで容赦ないツッコミパンチを清作くんのお腹に食らわした。

 はてなマークを飛ばしてる清作くんは絶対わかってないけど。


「それにしても強打の麻生西に打ち勝つなんて、データが少ない分よけいに不気味ですよね」

 背番号25、控え外野手の栗原くんの言葉に背番号10、控え投手の喜多センパイが同意する。

「たしかに麻生西戦の17対15ってスコアもメチャクチャだけど。一回戦は13対5、二回戦は9対8、とにかく点を取ってる反面失点も多い」


「しかもエラーが三試合で35とか。毎回一つ以上してるってことだべ?」


「まるでサンドロットベースボールだな」


「俺たちにとって去年の弐織がそうだったように、一年の四番がチームの起爆剤になってるみたいだな」


 栄春のキーマンは背番号25、一年で四番の左薙くん。


「相手の実力が未知数なら俺たちは俺たちの野球をするだけだ。行くぞ」


 之路主将のゲキで桐湘は意気高くベンチを飛び出していく。



 投球練習している栄春の投手はもちろん左薙くん。

 背が高いから球に角度があるし腕が長いのでタイミングが取りづらそう。

 仙泉学園の大巨人真木さんみたいな投手なのかも。

 仙泉戦は試合に出させてもらえなかったから僕は対戦してないんだよなあ。

 そう思いながら観戦していた僕は思わず、マウンドの左薙くんを二度見した。

 いきなりグラウンドの土を食べ始めたのだ。正気か。


 一回表、桐湘の攻撃は一番児島センパイがサードゴロエラーで出塁、二番柊センパイがライト前ヒット、三番頭木センパイのバントはバント処理でファーストがエラーして、三球でノーアウト満塁。

 栄春の三試合でエラー35個はだてじゃない。

 四番弐織センパイは敬遠で一点もらったものの五番安保センパイは最悪のホームゲッツー、六番宇城センパイのセンター前ヒットで一人生還したが本塁を突いた弐織センパイはセンターの好返球に阻まれアウトで二点どまり。


 一回裏、一番センターで好返球を見せたばかりの眼鏡かけた人がテキサスヒットで出塁すると、セットポジションで球威が落ちたところを二番バッターも打ち返し、ノーアウト一、二塁。

 三番バッターはピッチャーライナーに打ち取ったが次の四番ピッチャー左薙くんにスリーランを浴びて二対三。


 打たれる前の状況はベースに覆いかぶさるようにしてバッターボックスに立つ左薙くんに之路センパイが

「俺がそんなにコントロールいいと思ってんのかバカ野郎!!」

 って吠えてた、それからひたすらど真ん中にストレートを投げ続けて、四番には打たれたけど五番以降の攻撃はピシャリと封じた。


 ライトの児島センパイは清作くんに、二度と外野に球飛んで来ないだろうって言った、そのくらいの凄みだった。


 二回表、清作くんはチェンジになったとたんにバッターボックスに入ってて弐織センパイに殴られてベンチに引きずられていった。

 

「之路主将、何点取られてもいいスよ。俺が取り返しますから」


 って言って弐織センパイ、児島センパイ、伊奈くんに殴る蹴るの暴行も受けてた。

 主将はにっこり笑って頼んだぞって言ってたけど。


 二回表の清作くんはセンター前ヒットだったけど、後続が初めて見たアンダースローに面食らって抑えられて無得点に終わった。


 あれならシニアの時にもやってたと後から言った清作くんは弐織センパイ達にこの試合二回目の公開リンチをお見舞いされた。


 二回裏は三者凡退に抑え、三回表は二番柊センパイがサードファールフライ、三番頭木センパイが三振。四番弐織センパイが右中間二塁打で出塁したけど五番安保センパイが初球を打ってファーストファールフライで終わり。


「高めのつり球だっただろ、打ち急ぎすぎだ」

 ベンチに引きあげる安保センパイに之路主将が声掛けたら、安保センパイはうるせえよって言い返した。


 積極性をはき違えてないかな、この人。

 クセのある投手だからボール球には手を出さないでじっくり見るのが基本だと思うけど。

 弐織センパイが安保センパイをじっと見ていて何か言いたいことがある様子。

「・・・なんだ弐織。言いてえことがあるなら言えよ」

 安保センパイに促され、弐織センパイが口を開いた。


「安保センパイ、勝つ気ねーんスか?」


 ついに言ったか。

 安保センパイの消化試合発言に不満そうな顔していたし、腹に据えかねている様子はあったから。


「目先の試合を棄ててたら、肝心なところで全力になれない」


「なんでもかんでも全力か。暑苦しいなテメーは。もう夏の予選のシード権は取ってんだ、この試合がどうなろうが重要じゃねえだろ」


「そうやって棄てる言い訳ばっかくり返してたら、そのうち自分の言葉に甘えだす。 港南は強ェから勝てなくて当然。俺たちは公立だから仕方ねえ・・・ 言い訳すんのも腐るのも全力出してからにしろよ」


 敬語が消えた、安保センパイを睨みつける弐織センパイ。

 安保センパイもそれに負けじと睨み返す。

 一触即発?

 ここでチーム内の重量級同士の大乱闘が始まっちゃったら大変だ。

 他の桐湘の面々も心配そうに見守っている・・・

 と思いきや、さっさと守備についていた男からゲキが飛んだ。


「いつまでゴチャゴチャやってんだ!!サッサと守備つけバカ野郎!! 二人そろって左薙にのせられてロクに結果出してねーくせに、ゴタゴタ足引っぱってんじゃねーよ!! 」


 清作くん、桐湘でもっとも空気を読まないし恐れも知らない男。

 沢村が外野手だったらこうなるんだろうか。

 外野手の中でこんな感じに吠える人と言えば青道では伊佐敷センパイだけど、シングルヒット一本の清作くんが二塁打と敬遠の弐織センパイにこの発言はおこがましいし、伊佐敷センパイならこういうことは言わない気がする。


「クソ天然!誰に向かって言ってんだ」

 と言われると、ど直球で返す。


「テメーらだよ!!脳筋とコレステロール!! 」


 コレステロール・・・。

 凄く分かりやすいけど僕には青道からプロ野球に行った東さんのお腹が思い出される。



 言いたい放題な感じの清作くんに同じ外野の頭木センパイが頷いて見せている。

 レフトの頭木センパイは外野の練習でもまだしゃべったことないからどんな人かよく分からないけど武士みたいな雰囲気の人だ。

 口数が少なくて、凡退すると面目ないとか言うし。


「どいつもコイツもだらしねーんだよ!!俺がホームラン打って点取ってやるからサッサと出て来い!! 」


 弐織センパイの怒りの矛先は清作くんの方へ向いたようで、喜多センパイが控えのセンパイ達と一緒に必死に押さえ込んでいる。


「桐湘高校、早く守備につきなさい」

 審判に怒られ、そこですかさず久澄監督から指示が飛ぶ。


「じゃあ栄春の攻撃早めに終わらせて、皆で清作君をシメましょう」


「おお!」

 監督の言葉に一致団結する桐湘ナイン。

 それでいいのか。

「覚悟しとけゴラァ!!」


 三回裏、ツーアウトからデッドボールでランナーを出したものの左薙くんのライトへの打球を児島センパイが超ファインプレーで好捕。


 好守に勢いづきたい桐湘はこの回の先頭打者である宇城センパイに久澄監督からアドバイス。


「相手投手の左薙君としては清作君の前にランナーを出したくないでしょうから、全力で宇城君を打ち取りにきます。 大きなあたりはいりません。バットを短く持って確実にあてにいきましょう。 3試合でエラー35。この試合でも既に2つ。栄春の守備のもろさを突くために。 何とかくらいついて――内野に打球を叩きつけてください」


 サードゴロエラーで宇城センパイがヘッドスライディングして見事出塁すると清作くんは久澄監督に

「監督、次俺なんスけど何かあります?」

 と質問。

 ベンチの指示を聞く気になったなんてすごい進歩じゃないかな。

「清作君、送りバントできます?」


「したことねえっす」

 だろうな。

 そう言えば桐湘では送りバントの練習したことないんじゃない?

 

 僕も公式戦では一周目も含めてまだ一度も決めたことない。

 だいたい強行策の方がいいと思われているバッターなんだろうな。

「ですよね。 之路君の投球に、児島君のファインプレー。1点リードされてはいますが、流れはウチに来つつあります。 今の自分にできることを全力で。ホームランを狙ってください」


 久澄監督の言葉に

「それならできます!」

 と元気よく返して打席に向かう清作くん。

 それを呼び止める弐織センパイ。


「おいクソ天然、勝負所だ、キメてこい。できなきゃ二度とデケェクチ叩けねえようにアゴの骨砕いてやる」

「ハイッス」

 無茶なセンパイ命令に笑顔で返事する清作くんはいかにも打ちそうに思えてきた。


 打席でも左薙くんに「本気出せ」とかいろいろ吠えて審判に怒られてたけどそれも含めて期待通り、清作くんのバックスクリーン直撃の逆転ツーランが出て、弐織センパイからバックドロップお見舞いされている。

 あれをツーで返すなんて清作くんはやはりすごい。


 清作くんのツーランが出てからというもの栄春の左薙くんは打たせて取るピッチングに変えた。

 栄春は投手とセンター以外はエラーが多いから試合時間がすごく長くなって、睡魔が・・・。


「降谷君、代打お願いです。ダメ押しの点取って之路君を楽に投げさせてあげましょう。昨日投げたからって出番がないと思ったら大間違いですよ」


 僕が出番なくてベンチでコックリコックリしていると監督から声がかかった。

 代打か・・・・。

 スコアボードを見ると九回表の攻撃で、すでに八対三。

 この点差で之路主将を完投させなくてもと思うけど、昨日僕がへばってから喜多センパイも投げているので連投を避けたのかもしれない。


 僕がタイムリー二塁打を打ってもう一点追加して九対三。

 九回裏の守備で頭木センパイに代わってレフトの守備についたけど、ボールはもちろん飛んで来なかった。


 終わってみれば桐湘の圧勝で、投手のワンマンチームに序盤苦労して後半打ち崩す展開は一周目の明川戦を思い出した。

 タイムリーを打たれた楊さん、手強かったけど留学生だから来年三年生の年は規定で公式戦に出場できないんだよね。


 それに比べたら左薙くんとはまだ戦えるんだから今度は僕が投げ合いたい。


 四回敬遠された弐織センパイは左薙くんにつかみかかろうとして喜多センパイに止められている。

 あと、弐織センパイは次の試合(石野塚対蔡理)のチームの人達にも因縁つけられていた。




【栄春戦の後】


「お前もいずれ俺の愛の力の前にひれ伏すだろう」


 蔡理の背番号1の人が弐織センパイにそんなことを言っているのが聞こえたけど全然意味が分からない。

 蔡理の女子マネは僕が知っている女の人の中でいうと吉川さんくらいの髪の長さで、小柄でかわいい人だけど、筋肉隆々とした迫力ある自分の学校のエースにケンカはダメ、と堂々と叱れるんだからかわいいだけでなくしっかりしている。すごい。

 蔡理はベスト16の石野塚に11対0の五回コールドゲームで圧勝。

 

 横浜薬大スタジアムまではるばる応援しにきてくれていたOBと父兄の皆さんに監督がお礼を言っている。

 うちはおじさんもおばさんも仕事で来てないけど、おじいちゃんが東京からわざわざ見に来てくれていたから、ちょっとだけしゃべった。

 とは言うものの、九回に代打で途中出場してレフトの守備についただけ(守備機会なし)で投げてないから応援ありがとうくらいしか言うことないんだけど。

 後で応援に来てくれてありがとって電話も入れることにする。


 おじいちゃんと分かれてキョロキョロすると之路主将が両親と一緒にいるのが見えた。

 お母さんはマウンドにいる時の之路主将そっくり、お父さんは穏やかバージョンの之路主将そっくり。

 こんな遺伝ありなのか。

 頭木センパイのところのお父さんと弟もセンパイと目がそっくり。


 その後、OB会長の経営する焼き肉屋さんに野球部とうちのクラスの人が(会長の奢りで)行くことになった。



「ミート!ミート!オニオン!ミート!!」

 中田会長のお話もそっちのけで食べまくる部員たち。

 青道の人達も焼き肉屋さんに行ったらこんなすごいことになってたんだろうか。

 青道のことは思い出さないと決めたはずだけど、おじいちゃんと会ったせいかつい思い出しちゃうなあ。


「お前も野球部だったんだな、おとなしいから全然知らなかった」

「九回にだめ押しのタイムリー二塁打打ってたな。清作とお前、うちのクラスのヤツが三打点とかスゲー」

 同じクラスの人に話しかけられて寝たふりしようかと思ったけど僕もお肉食べたいから寝る訳にもいかず、仕方なく肉を焼きながらうなずく。

 之路主将が最後まで投げたのでマウンドにはお呼びがかからなかったけど九回にやっと代打で出て、バットでアピールしたんだ。

 ベンチにも入っていなかった一周目の春季大会に比べれば、昨日は投げたし、今日も代打だけど試合には出たし、経験積ませてもらっていると思うけど、一周目よりちゃんと成長出来てるかなあ。

 僕が物思いにふけりながら肉をひっくり返していると、同じクラスの人がまた話しかけてきた。

 

「野球部よく食うなあ。お前や清作はそんなに食べてないけど」


 僕はともかく、普段よく食べる清作くんが食べないのはおかしい。

 肉の横にキャベツとか野菜を適当に並べながらちらっと見ると、たしかに清作くんは箸がほとんど進んでいない。

 かと思うと正面に座っている隣の席の工さんに唐突に言った。


「なあ。愛の力ってどう思う?」

「何言ってんの。意味わかんない。キモイんだけど」

「・・・だよな。けど、あのドラゴン体型の投手は体が愛でできてるらしいんだ。俺はそんなの信じねーんだけど」


 面白すぎる。

 愛と勇気だけが友達なヒーローをリスペクトしている投手とも秋大で戦ったことあるし逆行という超常現象経験しているから、僕は大抵のことじゃ驚かないけど、試合前に土を食べる投手がいたり、身体が愛で出来てる投手がいたり、ほんと神奈川面白いよね。


「ゴメン、話が宇宙すぎてついていけない」


 清作くんの話には通訳が必要だ。

 ドラゴン体型の投手っていうのはたぶん、弐織センパイに因縁つけてた蔡理のエースナンバーつけてた人。

 あの人、弐織センパイにも愛の力がどうのこうの言っていたし試合中もスコアブックつけてたマネージャーらしき女子に桃ちゃん!とかマウンドで暑苦しく吠えてたからその延長で聞きたかったんだと思う。

 

 工さんって、話す言葉は塩だよね。

 サンドイッチそっとあげたり、今日も肉焼いてあげたり態度は優しいのに。


 人のことばかり見ていた僕のお皿に少し焦げたキャベツだけが残され、僕が焼いた肉がいつの間にか誰かの胃袋に消えていたのは言うまでもない。




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