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微熱(ムウシャカお題102)下ネタ注意、腐向け
 微熱のムウを気遣い、有難迷惑なお世話を献身的に頑張るシャカ。
 ムウはいろいろと気の毒な目に遭います。
 シャカ受け界では王道?天然シャカのギャグで最後の方は下ネタがかなりあります。
 下ネタ嫌いな方は回れ右でお願いします。
 最後の方、下ネタパートはシャカ攻めっぽく聞こえるところが結構あるのでシャカ攻めNGな方は予め心の準備が必要かも。
 とはいえ、この話のシャカはあくまでも受けで、民間療法の治療を大真面目にしているだけです。攻めっぽく見えても本当に攻めることはないのでどうかご安心下さい。



 牡羊座のムウは、その日、朝から体調が悪かった。
 なんだかゾクゾクと寒気がするし、節々が痛いし、食欲もない。
「どうかしたのかね」
 天上天下唯我独尊で傍若無人な恋人が珍しく心配そうに聞いてきたので、ムウは若干誇張して症状を伝えてみた。
「寒気がして寒気がしてしょうがないのです。きっと熱があるのかも」
 シャカは顔色を変えた。
「それはいけない、すぐ横になりたまえ」
 ゴン。
 いきなり光速で床に後頭部を打ちつけられ、受け身を取れなかったムウは顔をしかめた。
 石の床にそのまま病人を寝かせようとするとはむちゃくちゃだが、シャカは普段から何もない所で寝ているのでシャカにとっては普通なのだろう。
「い、痛い…!」
 ムウは反省を促すためにややオーバーに痛がってみせたが、あいにくシャカにそんな高度な技術は通用しない。
「痛いか?よし、この私が今すぐ五感を断ち切って楽にしてやる。大地に頭をこすりつけてこの私を拝め!」
 後頭部を光速で床に打ちつけさせるだけでは飽きたらずに天舞宝輪までかます満々のシャカの手をムウはつかんでとめた。
「最終奥義を麻酔代わりに気軽に使うもんじゃありませんよ。そんなことしなくても君が一緒に寝てくれれば温かいんですけど…」
 冷たい石畳もシャカを抱いて寝れば、きっと温かいだろう。
 ムウの提案をシャカはにべもなく拒絶した。
「無理だな。病人と寝たら私が感染してしまうではないか」
 シャカはサッサと踵を返すと、どこかへ行き、何やら臭い物体と鍋を持って帰ってきた。
「風邪にはこれがよく効くのだ。さあ、飲みたまえ」
 シャカはお玉ですくって一口味見してニッコリ微笑むと、そのお玉を差し出した。
 間接キスだなぁと思いながらムウはシャカが持参した茶色いスープを一口すすった途端、派手にむせた。
「なんなんだ、これはいったい…?」
 口の中が火事になったようだ。
 温度は温いくらいだったのに舌がやけにヒリヒリする。
「ネギのスープだ。汗をかくように特製スパイスも若干入れてある」
 そのスパイスとやらが激辛の原因らしい。
 シャカが毎朝朝食の玉子焼きや目玉焼きにこれでもかとばかりに辛味調味料を振りかけるのを見ているので辛党なのは分かっていたが、ここまでだとは…。
「ちょっと辛いので…、お水、いただけませんか?」
 本当はちょっと辛いどころの騒ぎではないのだが、シャカが珍しく手作り料理を振る舞ってくれているのに辛すぎるとはムウには言えなかった。
 相当婉曲な表現で水を所望したムウにシャカは怪訝な顔をした。
「辛い?そんなバカな…病人に刺激物はいけないと聞くから隠し味程度にしか味付けしてないのだが」
 シャカは首をひねりながらもう一度味見をし、薄味で健康的な味ではないかとかブツブツ言っている。
 隠し味でこんな激辛スープが完成するとは、シャカの辛さ基準とはいったいどうなっているのだろう。
 ムウはつくづく疑問に思いながらシャカが水を持ってくるのを待った。
「よく考えたら水は腹を冷やすから飲まない方がいいだろう。代わりに茶を入れて来てやったからありがたく思いたまえ」
 シャカはヤカンに熱い沸かしたての茶を入れて戻ってきた。
 茶は成分に含まれるカテキンが風邪にいいらしいが、激辛スープで口がヒリヒリする時に舌が火傷しそうなほど熱い茶を持ってくるのは嫌がらせとしか思えない。
「…しばらく一人にしてもらえませんか。休みたいので」
 シャカのお世話に付き合う方がよほどダメージが大きい、という現実に気づいたムウはシャカを追い払おうとしたが、彼の不幸はまだ終わらなかった。
「薬を入れたら寝ていいぞ。ゆっくり休んで早くよくなりたまえ」
 シャカがいつになく優しく言いながらムウのズボンに手をかけた。
「ちょっと、何をするつもりですか」
 風邪が移るから一緒に寝ないと断言したくせにズボンを脱がせようとするのはおかしい。
 ムウがシャカの手首をつかんでとめたが、シャカは獅子座のアイオリアと互角に腕力で勝負出来るくらい、見かけによらず馬鹿力である。
 シャカはとうとう手首を掴まれたままムウのズボンのチャックを下ろした。
「質問に答えなさい、シャカ!」
 ムウは危険を感じて奥の手のテレポーテーションで逃げた。
 黄金聖闘士一の超能力を持つムウといえども、十二宮内でのテレポーテーションは数メートルがやっとだ。
 立っているだけでも頭が痛くて、ムウは荒い息をついた。
「座薬を入れるだけだ、別に君を取って食うつもりはない」
 シャカの答えにムウは引きつった。
 シャカが持参したのは太い立派な長ネギだった。
 ネギはたしかに民間療法で切って座薬に使うことはある。
 しかし――。
「君はアレを私のお尻に入れるつもりか?本気かシャカ!」
 恐慌状態のムウが何を恐れているか、シャカはサッパリ分かっていない様子で答えた。
「本気だとも。さあ尻を出せ、ムウ」
 受けのシャカは尻にものを入れられるのに慣れているからなんとも思わないが、攻めのムウにとっては尻に何かを入れられるなどたまったものではない。
「嫌です!」
 シャカに迫られ、ムウは一目散に逃げ出した。
 逃げると言っても、宮をまたいでのテレポーテーションは出来ないから自分の脚で走って逃げるしかない。
「ムウ、待て!入れさせろ!!」
 むろん座薬のネギを…である。
「そんな太くて長いの入る訳がないでしょう!考え直せ、シャカ!」
 シャカが持参したネギはたしかに太かった。
 切り方もたしかに長かった。
「むろん、いきなり全部入れるようなマネはしないから安心したまえ。だから、ムウ……」
 シャカに追いつかれる。
 ムウは、奥の手を再び使わざるを得なかった。
 熱があって倒れそうな体調の身で元気なシャカと広い十二宮で鬼ごっこという段階で最初からムウには敗北フラグが立っていたが、ムウは攻めの意地にかけて必死に逃げていた。
「怖がるな、指でちゃんと馴らしてやる。痛い思いはさせないから早く入れさせたまえ」
 こんなことを言われながら延々と逃げまどっていたムウだったが、教皇の間の手前、薔薇の階段地点でついにシャカに追いつかれ、とうとうズボンとパンツを脱がされてしまった。
「嫌だ、指入れないで…シャカ…あぁ!」
 ムウは背後からシャカに指で後ろの穴をいじくられて悲鳴をあげた。
「騒ぐな、馴らしたら指でないものをちゃんと入れてやるからな」
 指でないものとはもちろんネギである。
「嫌だ、太い、無理…入れないで……」
 ムウの涙ながらの懇願も慈悲心のないシャカには全く通用しない。
「汁が出ている。濡れているからきっと簡単に入るさ」
 ネギは洗ったので濡れているのは当たり前である。
「そんな…、うっ…くうっ……」
 ムウは太いネギをねじ込まれ、苦しそうに呻いた。
「苦しいか?だが、じきによくなる……」
 よくなるのはもちろん病気が、である。
「嫌だ、抜いて、シャカ!」
 ムウが尻を振って嫌がるのをシャカは尻をパシンと叩いて叱りつけた。
「女々しいぞ、騒ぐな!もっと奥まで入れてやるからな……」
 シャカは使命感に燃えていた。
「そんな…、あっ、あっ、中が熱い…!」
 ムウは混乱した。
 中が熱くてもっと熱が上がってしまう気がする。
「(ネギの)汁がたくさん出ている…。そろそろ気分がよくなってきただろう?」
 ネギの成分が粘膜から吸収されたことでムウの病状は確実に好転している。
「ん…ん………zzz」
 ムウは十二宮をさんざん走り回らさせられた疲れもあり、返事をしながら眠りに落ちていった。
 こんなやり取りの一部始終を十二宮の住人全員に聞かれており、受けのはずのシャカがムウを真っ昼間から強姦したとか、みんなにいろいろと恐ろしい誤解をされた、という事実に彼らはしばらく気づかずにいた――。
【終わり】

 ムウが熱がある病人という設定で妄想。
 以前、シャカが受けと誤解されるシャカ攻め(シャカカノン)を書いたことがあったので、今度はシャカが受けなのに攻めと誤解される話を書いてみました。
 お題番号63の誤解でもいいような話ですけど、タイトルを誤解にすると展開が分かってしまう気がしたので微熱。

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あきゅろす。
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