聖衣（ムウシャカ信徒へのお題108の76）腐向け
「君の聖衣を貸せ」
ジャミールのムウの館に突如として現れたシャカに唐突に言われたムウは呆気に取られてシャカを見つめた。
ムウは今、猛烈に忙しい。
それというのも。
黄金聖衣は神話の時代から現代まで聖衣が死ぬほどの損傷をしたことがない。
しかし、嘆きの壁を破壊する際に貯蔵していた太陽エネルギーを放出して一時的にモロくなっていたこと、装着者が本来の持ち主でないと完全に力を発揮することは出来ないこと、などの理由によりエリシオンにおける神との戦いで青銅聖闘士達に貸した黄金聖衣は五体が五体とも木っ端微塵に破壊されてしまった。
ただ一人の修復師であるムウは経験のない黄金聖衣の修理を五体、ノウハウも何もなくやらなくてはならないので大変なのだ。
「…何をしたいんです？」
ムウはやっとそれだけ尋ねることに成功した。
聖衣は大切なもので、むやみやたらに他人に貸してよいものではない。
黄金聖衣がないシャカは、今は普通の若者のような袖無しシャツとジーンズを着ている。
シンプルな服ほど美貌が引き立つため、どこのモデルか俳優かというオーラをムダに垂れ流しつついつものように偉そうにシャカは言った。
「…君も承知の通り、私の本当の誕生日は4月7日だが君より数日後に生まれたので牡羊座継承者になりそこねた。一方、冥界に行ける八識に幼くして目覚めていたことから、神話で冥界との繋がりがあった乙女座の継承者として別の誕生日を与えられ、乙女座の聖衣を受け継いだ訳だが」
シャカの誕生日が4月なのは公然の秘密である。
ブッダの生まれ変わりであるシャカは、当然ブッダと同じ灌仏会の日に生をうけているからだ。
しかし、氷河も本来山羊座生まれなのに、わざわざ誕生日を変えて水瓶座生まれということにしているから、別にシャカだけが特別な訳ではない。
「紫龍は天秤座だが、山羊座の聖衣もまとったことがある。元々牡羊座生まれの私も当然、牡羊座の聖衣を纏えるだろう」
神に近い男は常識にとらわれない。
驚異の発想力で誰も思いつかない結論に達し、ムウの元に現れたのだった。
「君は修復作業があるから当分、警備当番からは外れるだろう？修復が終わるまで君の聖衣を貸してくれればよい」
冥界から生還したシャカは一段と小宇宙が大きくなっており、聖衣などなくても神以外となら余裕で戦えそうなのだが、怒らせると洒落にならないので言わないでおく。
「きみに貸すと、ピーキーなセッティングされそうで嫌なんですが…分かりました、今回は貸しましょう」
ムウは了承して牡羊座の聖衣を出した。
元々ムウとシャカは技のほとんどが同じ系統なので聖衣を交換しても戦闘には支障はない。
支障はないのだが、牡羊座の聖衣を装着したシャカを見て、あまりの似合わなさに吹き出したムウが、早速スターダストレボリューションと叫ぶシャカの天魔降伏で制裁され、重傷を負ったのはあまりに馬鹿馬鹿しいのでみんなには内緒である。
カプ未満のコンビのような二人ですがシャカがフラリとジャミールを普通に訪問したり、聖衣を交換してくれとワガママ言っても大丈夫な程度には親しい関係なのです。
初登場時に、乙女座のシャカ！と出て来た時に、なんで？シャカなら牡羊座だろ、と突っ込んだ覚えがあります。
あと、氷河が山羊座生まれというのはジャンプゴールドセレクション（アニメスペシャル）設定です。
まあ山羊座も本来は半分魚の姿なので、水に縁がないこともないんですが。
ムウシャカ同盟様
http://miyu.oops.jp/muxshaka/xyz.html
からお題をお借りしました。
ムウシャカ信徒へのお題108の76
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