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バスケ漫画小説(年齢制限なし)
超能力者黛千尋の災難2
 斉木楠雄のΨ難の四月にあった牛光さんの話ネタ。
 覚えてる方には説明不要でしょうが下ネタ注意!
 食事時に読まない方がいいかもしれません。


 寮に戻ったオレが食堂で遅い夕飯を食っていると脳内に斉木からの強制実況動画が配信されてきた。
 オレはもともと、ミュートを会得するまでは数十人の心の声が流れ込んでもかろうじてなんとかなっていたくらいだから聞き分け能力は相当高い方だ。
 だから実況動画配信とともに同時視聴させられていようが別に飯は普通に食えるんだが、これはさすがにキツい・・・。

 暗い場所でどこかの鍵を(たぶん)斉木がサイコキネシスで開けている。
「いや〜相変わらず便利な力っスねえ〜悪用しないのがもったいないっス」
 清々しい声でクズなことを言っているのはたしか斉木を師匠と呼んでたエロガキ、もとい斉木の隣のクラスの転校生鳥束零太だったはず。
(この力を持ってるのがお前じゃなくて良かったよ)
 この脳内に直接響く、カッコで書いたのが斉木楠雄の声というかテレパシーだ。
 いつ聞いてもうちの主将の赤司と声がそっくりだが、こいつの声は脳内に直接響くので聞こえ方が違うから間違うことはない。
「なんか夜の学校ってワクワクします!」
(意外だなビビリのお前なら少しくらい怖がるかと思ったのに) 
 オレは映像の方向が切り替わった瞬間、漫画のように飯を吹き出しそうになった。
 こういう時は目立たなくてすむ自分の影の薄さに感謝するが、この体質には感謝どころか怨嗟しかない。
 オレは超能力者だが霊能力者でもあるのだ。
 といってもオレが普段霊と遭遇することはない。あれば第一話の時点でとっくに言っている。
 では何故言わなかったのかというとオレの霊能力は見る聞く消し去るの三拍子揃っているため大抵の霊はオレに近づく前に逃げ出すし、実害がないから言わなくてもいいと思ったのだ(幸か不幸か、霊の気配を感じる力はないので見えないところで黙っている霊がいた場合は気づかないだろうがそれも実害がなければまあどうでもいい)。
 オレが心霊現象などあり得ないと断言したのは、超能力で起きたことだとネタを知ってたせいもあるがオレの目の前で心霊現象を起こせる霊など見たことないからでもある。
「怖がる?なに言ってんスか」
 ただし霊能力に限ってはチートに近いオレにでもどうすることも出来ない霊が存在する。
 それは目の前にいない霊だ。
 千里眼で見ている時に映り込んだ霊や今みたいに斉木が見ている映像を遠隔で見せられている時は、オレの祓う力の対象外なのだ、遺憾ながら。
「斉木さんも幽霊もウジャウジャ居るんだから全然怖くないっスよ」
(それが普通怖いんだろ)
 本当だよ。
 オレは自分が現場にいる時なら浄霊?除霊?出来るから怖くもなんともないのだが自分が現場にいない時の心霊現象を見るのは得意じゃない。当然だ、現場にいる奴が取り殺されて急死したり、殺されはしなくても霊におんぶお化けのようにしがみつかれてるのとかをじっと見ているのは背筋がぞっとするからな。
 斉木には霊能力がないらしく見えてないようだがパッと見ただけで十人はいたぞ、幽霊。
 斉木の学校には死神とか祓い屋とかそういうのがいないのか幽霊がのびのびと羽を伸ばしている。
「あ!そうだ音楽室の霊の事知ってるか聞いてみるか・・・」
 鳥束が見た方向をオレも見た瞬間、ものすごく嫌な予感がした。
 飯を口に含んだらまた吹くんじゃねえかって気もするけど、間もなく食堂が閉まる時間だ、さっさと食わなければ影が薄いからいないと思われて閉められてしまうと面倒だ。
 どうすっかな。
「ねえ!そこの全裸で廊下を全力疾走してるおじさん!」
 予想してたけどやっぱりむせた。
 絶対こいつに話しかけると思ったよ。
(ウジャウジャ居るのに何故そいつにした?)
 まったくだ。
 食事中に汚いもん見せんな、しかもよりによって今日のおかずの一つは粗挽きロングウィンナーなんだぞ、どうしてくれる。
「あれ?黛サン、まだ食べてんの?」
 食堂の中を何気なく覗いたらしい葉山に声をかけられ、オレはげんなりして答えた。
「食欲なくなったんだよ、食いきれるかどうか・・・」
 特にウィンナーがな。
 全裸の男の酷似した形状のものを見せられた後では食える気がしない。
「ちゃんと食べないから細いんだよ、あとちょっとじゃん、頑張れ」
 葉山は立ち去った。
 葉山と話している間に鳥束と全裸の幽霊の会話が終わったのは幸いだった。
 なるべく葉山の声だけ聞くようにして意識の片隅に追いやってはいたが、全裸の幽霊は猥褻な単語を連呼していて聞くに耐えなかった。
(聞くならもう少しましな奴にしろ)
「じゃあそこのスーツ姿で下半身だけ露出してる
人に・・・」
 だからそういう奴はやめろよ、オレが飯食えなくなるだろ。
 オレは食事を諦めて立ち上がり、食器を返却口に返した。
 音楽室からピアノが聞こえた斉木と鳥束は音が聞こえる方へ向かっている。ピアノの前に座っていたのは儚げな美少女だった。
 ここから後は、まあお約束だ。
 成仏出来ない幽霊に、音楽室から立ち去ってほしいと訴える鳥束、拒む幽霊。
 そのうち鳥束が自分んちにおいでおいでとしつこく誘い始めると幽霊は鳥束の下心丸出しの態度にドン引きし、どっかへ消えていった。結果オーライか?美少女幽霊がかわいそうな気もするが・・・。
 そしてまた変質者の幽霊だらけの廊下を通り抜けて帰っていく斉木と鳥束。
 斉木は霊能力がないので、鳥束にサイコメトリーかけることでしか幽霊が見えないらしいから美少女の幽霊しか見てないようだが、斉木の目を通して斉木の学校を見ているオレには気色悪い変質者の幽霊どもがバッチリ見えている、しかも斉木の目の前にはさっきの上半身だけスーツで、下半身露出してる奴がいる!
 いっそ鳥束をサイコメトリーしたまま歩けよ、オレに気持ち悪いもののドアップを見せるなっつうの。
 オレに斉木の学校が分かれば・・・、あるいは、おれっ子や僕っ子のように自分が見たものの場所へテレポートする技術があればいいんだが、あいにく斉木の学校を特定する手がかりは何もないし、オレは自分が行ったことのある場所しかテレポート出来ないから斉木の学校に行く術がない。
 もし行ければ学校中すみずみまで歩いて片っ端から全員除霊してやるんだがな・・・、もちろん最初のターゲットはオレの食欲をなくさせた元凶の、あの変態悪霊だ。
 しかしまあ出来ないことをうだうだ言っても仕方ないと思い直したオレは布団をかぶって眠ることにした。早寝したいというオレの希望もむなしく、動画が終わった時には消灯時間さえとっくに過ぎていた。


 後書き

 第1話の時期が黛さんが高三でGW前、しかも七不思議ネタを力ずくで導入してきた時点で展開が予想ついていた方もいるかもしれませんが、音楽室の幽霊χのネタでした。
 関東と関西では出会う機会がなかなかないはずなのでこんな感じで実況動画を送られた黛さんがツッコミながら見守ったり、斉木くんみたいに自分がなにかしらの波乱に巻き込まれたりのクロスオーバーになります。
 次は第一話の伏線を回収して実渕さんのピンチを救おうとした結果なんやかやある話にする予定です。
 作中でさらっと死神とか言ったのは境界のRINNEにおける死神(成仏出来ない霊をあの世に送ってあげる役割) です、この世界の黛さんはパラレルワールドと接点がある設定なので息するようによその作品のネタを挟みますがそういう人です。

 続きをお待ち下さってるようなタグをいただくことはあまりないので励みになります、嬉しかったです。
 ここまでお読み下さりありがとうございました。

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あきゅろす。
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