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食べ足りない(仮題)
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 アーチ型を描く光が射し込む天高い灰色のホール


金と重厚な緑で統一された調度品の数々は人が暮らす為ではなく、人が集うために作りつけられた物だった。

人の背丈の倍はある両開きの扉をぬけると、カーペットがまるで道を示すかのように敷かれ

その先に玉座は あった。



 レッドカーペッドのような暗い鮮やかな緑のそれを避けて、慌ただしげに人々が足早に集い、ざわざわと囁きが蜂の大群のようにざわめき始めた頃


来訪を知らせる鈴がシャラン、シャラン、と鳴り響いた。


静まり返った室内、両開きの扉がきしむようにゆっくりと開かれ

衣擦れの音すら聞きもらすまいとするかのように、視線が一人に集まった。

赤い衣を纏い、裾を引きずるような長い長いマントとドレスを優雅にさばきながら、艶やかな黒髪を一つにまとめ上げ、強かなヘーゼルの瞳をした彼女は、悠々とあの暗く鮮やかな緑のカーペットを踏みつけて


滑るように滑らかに、玉座へと腰を据えた。



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