アクマ @ @ 朝の光のなか、ホコリがキラキラと舞い 窓を開ければ、引き締まるような澄んだ空気が流れ込む 今朝がた、清潔に片付けられた食堂を兼ねた台所は、まるで聖堂のように凛とした空気をたたえ 日に透け、オレンジ色に髪を輝かせた青年は、そっと口を開いた。 「なぁ、そのさ。名前だけどさ」 「…なんでもかまいませんよ?」 即座に答えた悪魔に焦れたように、そーじゃなくてさ、と言い募る 「君の、名前は?」 悪魔と呼ばれる少女は面を食らったように、青年に視線をやった まるで、その顔が何を言っているんだとも言いたげで、 しかし、呆れたように苦笑いしながら机に視線を向けると、小さな声で答えたのであった 「ヒヨリ、です。ヒヨリ タナカ」 そうして、契約は施行された。 悪魔は主の舌が回らなかった為、ヨリと呼ばれ、 青年はようやく悪魔の契約者、『悪魔使い』になれたのであった。 [*前] [戻る] |