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アクマ






思わず、指先から灯りがわりに魔力を放って、


よく見ようと、辺りを見回る


その時主は面食らったように私を見て、ゆらゆら蛍のように舞う こぶし大の光に見とれ


「これは、君が?」

そっと指先で触れては、感触を確かめていた



「はい、そうでごさいます」

事務的にそう答えて、

目は数ある服を見てまわり、ホコリは被っているがきらびやかな装飾品に釘付けになっていた




服はゴミが多いが、スタンダードになった形の服も多いから、手入れをすれば着られる



装飾品も、型は古いが

職人の工房にもってけば、今の流行りの形にしてもらえるし


なにより、服も貴金属も一級品ばかりだった。


「きれいだな、」


ぼそり、呟いた主に振り返る

幻想的な光の中、アーチのついた窓辺にたたずみ微笑みを浮かべて、


ふと、彼がこちらの視線に気づく



「ああ、ごめん。」

そう言って こちらに歩み寄り、ぽふと頭に手を置いた


「いえ、夢中になったのはワタ、」

「敬語は、つかわなくていい」

答えようとした言葉に被せて、私に目線を合わせるように膝を折った主が 言い聞かす


「ですが、」

「いいんだよ、」

微笑んでそう言って、頭から手を離す



その手を目で追いながら


棚から何か貴金属の入った紙箱を取り上げるのを見て



再び、膝を折ると 目の前で箱の中身を見せつけ


灯りを手元に寄せ、マジマジと見つめる先に在ったのは、


銀糸で織り上げられた首輪


それを私に持たせると、別の箱からは



とろりとした光沢を持つ、翡翠色のチョーカー




しばらく言葉を失って二つを見合わせ、主を見上げる

「あ、気に入らない?」


女の子の趣味は解んないからなあ、と苦笑いしながら、棚をあさる


お んな のこ、



久しぶりに聞いた言葉、だった。



どうやら彼は私が気に入るモノを、探してくれようとしているらしい


まさか、自ら首輪を選ぶ日が来るとは


もうもうとホコリが舞うなか、次々引っ張り出す主の手を引いて


おもむろに髪の毛より細かい金属の糸で編まれた、銀糸のチョーカーを差し出す

「へ?、それでいいの?」

頭にもホコリを被りながら、不思議そうにこちらを見て


チョーカーを受け取ったのを見て髪をかきあげ、何も言わず うなじを晒した


「…あぁ、はい。うん。つけたげるよ」

どこか笑いを含んだ声を聞きながら


熱い指先がかするのに堪え、つけてもらう



「ッ…、」


くすぐったい。

カチャリと金具が留められ、



まるであつらえたようなソレにそっと指先で触れて


滑らかで吸い付くようなつけ心地に満足する。




すると、気がつけば主がホコリまみれの全身鏡をガタゴトと奥から引っ張り出して



なにしてんだ、とジト目で見つめながら


わざわざ、鏡まで持ってきたお人好しに 微笑んだ


一瞬、主は私を見て

歯を見せ、にっこりと笑い返してくれた。




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