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アクマ












小柄なアクマを見送って、



「何しに朝っぱらから…」


久々に再会した悪友に主ことフィルベルトは塩っぱい顔で振り返った。

「ん、近くに寄ったからな。この時間くらいしかお前掴まんねーだろ」

悪びれもせず、人の家の飯をちゃっかりいただきながら、奴はニカッと笑う。



事実なだけに返す言葉に詰まれば、

「元気そうでよかったよ」

彼は目元を和らげて、ホッとしたように口にした。それに毒気を抜かれ、とにかく席に着いて一緒に朝飯を食うことにした。


上等で丁寧なしつらえの服装は白っぽい灰色が混ざった紫の上着から濃い灰色が混ざった紫のインナーまで紫で統一され、内側からグラデーションするように纏められ、相変わらずセンスはいい。


ゆるいクセのある銀の髪を貴族らしくきっちり編みまとめ、額を見せつつも前髪だけ遊ばせていた。男から見ても妙な色香がある男だ



本人も意外と多忙な為、最近はあまり会わなくなっていたのだが


「なあ、」

「あ?」

静かな食卓。不意に声がかけられて、アメジストのような紫玉の目と目が合えば、食事の手を止めた友人はどこか不安げに、じっとこちらを見据えていた。


「あのアクマ、いつから居るんだ?」



そのあまりの真剣さに、半端な答えなど返せず、



「一言くらい相談してくれりゃよかったのに」

どこか、悔いるように続いた言葉に耳が痛くなった。そういえば、悪魔の話を聞いたのは彼からだったと思い出す。


「これは、俺達兄妹の問題だ」

キッパリと突き放すように言外に心配要らないと含ませて言えば、

「チッ…それでも、」

ひどく焦れたように

「半分、血ィ繋がってんだから俺にも…ッ、」

頼れよ、と口の中でモゴモコ言われた言葉に驚いて、思わず笑みがこぼれた。


「うん、ありがとう」

この不器用な友人は、どうやら心配してくれたらしい。
しばらくはブチブチ説教じみた小言のようなそれをニコニコと聞いていれば、あちらも気が抜けてきたらしく呆れたようにため息まで吐かれてしまった。

「それで、契約の規約とか決めたのか?」

そして、ふと最後に思い出したように口にした質問に

「…は?」


訳がわからず聞き返せば、彼はピシリと凍りついた。


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