アクマ @ 廊下に出たとたん、まだ ホコリが舞う室内に目を細め 口を袖で覆う チラリ、悪魔がそれを見て口早に 「…勝手な事をして、申し訳ありません」 と謝ったのだった。 なにを、謝ることがあるのだろう? 訳がわからず、その視線を捉えれば 眉間にシワを寄せられ、そうして浅いため息を吐かれると スタスタと先を急ぎ始めた。 置いてかれる 慌てて追い付き、隣に並んで階段を下りて、台所にたどり着いた 扉を開け、一歩踏み込めば、そこはお湯と乾いた布と石鹸の臭いがした。 …綺麗だ 嫌な臭いも、天井のススすら、薄い灰色を残すのみであった。 艶々の皿がテーブルに並べられ、湯気をたてるパン粥とサラダ、セシルには付いてなかったチーズが削られ それぞれに振るわれた。 「味は保証いたし かねます」 キッパリとそう言った彼女に、昨夜の『人の食べ物は』の会話を思い出しながら、恐る恐る口にする 悪くない、 むしろ優しい味で好ましい 店屋物以外の暖かい食事は久しぶりで懐かしいく、ゆっくりと空っぽな胃に落とし込みながら、鍋に余分に在った分まで空にして ようやく一息ついた時、彼女は待ちかねたかのように 「お食事が済んでスグに申し訳ありませんが、(とっとと)残りの契約片付けませんか?」 と、軽く前のめりで そう言ったのであった [*前][次#] [戻る] |