アクマ
ごはん、ですか?
えづきそうな く、…痛んだ食べ物のにおい
四角い箱のような、かつては真っ白い壁だったのであろう部屋は
天井が 煤で黒い。
床と、膝下までの板張りの室内はどうやら
「な んだ、この臭い…、」
あまり、手入れというか、主は寄り付かないようだった。
「………………あー、なんか、……買ってこようか、缶詰しか無事そうなものが」
ガガガと、簡素ながら繊細な細工の施された木の椅子が、引かれて
気恥ずかしそうに、席をすすめられ
無理矢理室内に運び込んだらしい7人掛けのテーブルに難儀しながら、その椅子に座る
目の前に、手のひら大の挽き肉の缶詰と桃のシロップ詰め、豆の缶詰がゴロゴロと置かれてゆき、
「これは、食べてもいいんですか?、」
と、一応聞いてみる
「あ?いいよ、いいよ。好きなのから食べてって?本と悪いけどそれしか無いんだよね、」
苦笑いしながら、振り返った主を横目に、やはり知らないかと
か細く、長く 落胆しながら息を吐く
「、…そうではなく」
私の声色がかわったのがわかったのか、どこか不思議そうな真面目な顔をした主は
「私は、普通の…こちらの一般的な食べ物は、口に出来ないのですが」
そう言った私を見て、驚いた顔をした。
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