アクマ
*
「ンぶッ、」
煮えきらない思考に耽っていると、どすん と柔く温かい壁に鼻からぶち当たって
「ぉ、スマン すまん」
立ち止まった主が、ぽふぽふと髪に触れる
距離が近すぎて、
人間扱い されている気分だ。
勘違い、しそうで
グッと眉間にシワがよった。
影が濃く、宵闇が近づく室内で、うつむいた顔は見えはしないだろう。
表情を取り繕って、顔を上げ
視線がかち合った主が、優しくほほえむ。
「はら減ったろ?飯にしようか。」
そう言って、手を引いて
食堂らしき、青にクリーム色を混ぜたような錆び付いた戸を、押し開く。
金属の蝶番がたてる
ギュイイと耳障りな音を聞きながら
一歩中に入れば、そこは
…………腐界じゃねーか。コンニャロウだった。
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