アクマ
おやしき
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濡れ髪のまま手を引かれ
ぎしぎしきしむ階段で二階に上がっていく
天窓からの明かりだけで、辺りは薄暗いが、手すり越しに覗く事が出来る階下は、やはり 荒れていて
自分のやれそうな事は多そうだと、判断する
赤茶けた緑の絨毯を踏みしめ、さらに屋敷の奥に進んでいくと
左右に変色した銀の燭台の飾られた狭い通路、の一番奥に両開きの扉の前で立ち止まる
ここが妹君の部屋かとぼんやり思いながら
主がこつこつとノックし、セシル、と声をかけるのを聞いていた。
中からは、人が身じろぎか細い声で、はいと返事が上がり続いて咳き込む音も聞こえて
勢いよく手を引かれ、慌てて扉を開け放ち主が中に転がり込む。
ホコリっぽい臭いの、ほの暗い部屋は、部屋のほとんどがカーテンで占められていて、角部屋のようだった。
掴まれていた、ヒリヒリする手を気にしながら、妹君に目をやれば
ベットサイドで主に背をさすられる、雪のようなプラチナブランドを背中に流した美少女が苦しげに咳き込んでいた
優しげな緑の目は兄妹同じだ
しかし、
病人が過ごす場所として、この部屋はいただけなかった。
ホコリっぽい絨毯に、よどんだ空気、不潔とは言わないが、清潔かというと、首をかしげなければならないリネン類
それと、インチキ臭い治癒と傷病を和らげるまじない。
それらを見やって、
まずは衛生観念から主に叩きこまねばならないな、とすぐわかったのだった。
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