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アクマ
アクマ




か細く長いため息を吐く。かび臭くて、ほの暗く湿気た牢屋内。ここは夏でも、底冷えがする。


ひざまずく青年を見ながら内心、心(あきらめ)は決め(つい)てしまった。


「わかりました…、主人どの。妹ぎみの病がいえるまで、」

「ほ、本当かッ!」

お供いたします、は言えなかった。おそらく、妹の病が治るまでという話すら聞いてねぇな。


すぐさま彼は立ち上がり、ためらいなくワッシとこちらの手を掴み握る。
面食らって顔を見ようと目を凝らせば、ズンズン出口に向かう半身しか見えない。

しっかし、肝が座ってるのか考えが足らんのか、いまいち図りかねる人だった。
だが正直こういう人間で無ければ、テコでも鞭打たれてもその気にはならなかっただろう。



手を引かれながら、その時ふと看守に目がいった。
違和感を感じながら鉄格子をくぐれば、今にも泡くってぶっ倒れそうであるが、視線が合った。





どうやら、呪いや護りを持っていないようだった。
ただ、力のあるネックレスか何かは服の下に持っているようで、



「…それ、」

と指させば、こわばった看守は服ごと握りしめた首飾りを さらにぎゅう、と握りしめていた。





らしくない親切心で口にしようとしたが、意味がないようだ


はやく行こう、と青年が声を掛けた事で我にかえったのか、看守は慌てて 私たちを先導しようと、小走りに前に出た






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