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マオユウ
08




豪奢な寝台で、柔らかなマットレスに埋もれるように勇者が横たわっていた。

あれから少し、大きさを増した卵は心臓を圧迫して

夢の中 眠りの中で卵ともども命を繋いでいた。


レースのカーテン越しの柔らかい光、漆喰の真っ白な壁と蔦が絡まりあい鳥や木の実の意匠が凝らされた天井と柱の華やかなで洗練された室内は 病室のように静まり返って


渋い赤の絨毯を音もなく踏みしめて、亡霊のように男が立っていた。








かつて彼は人から魔窟と呼ばれたダンジョンを管轄する地位に居た男で、燻し銀のような鱗の肌を持つ精悍な男は複雑そうに眉を潜め


死人のように青白い象牙色の肌の勇者を見下ろしていた。



体はもう、健常者のようにはいかないが一命はとりとめた。
卵までもを奪いさった勇者の爪の甘さは彼の命を繋げ、必ずや復讐をと誓ったはずなのに


力を注ぎ続けなければ、腐れて朽ちてしまう我が子の死を覚悟していたのに


なんの因果か親子共々、こうして再開した。



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