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マオユウ
18








 それからしばらく、青々とした芝生の庭で白いガーデンチェアと白い日避けの傘の下
清潔な衣服に身を包んだ勇者はうとうとと昼寝をしていた。

そよそよと吹き抜ける風が頬を撫で、極彩色の花々の香りを微かに運んでくる。


「おい」

背後からかけられた声に、彼女は覚醒する
つい心地よ過ぎてうたた寝をしていたようだ。体を冷やしたら卵に悪い

「すまない、卵を冷やすところだった」

慌ただしく立ち上がろうとすれば肩を抑えられ、膝裏と背中に添えられた手でもって掬い上げられた。

燻し銀のような鱗肌と白目の無い黒と銀の目が間近に迫って、すぐ視線を自分の膝にやり気恥ずかしいような複雑な気分から目を反らした。


不毛すぎる。

彼は優しい。思いやりがある、しかし それは卵の為なのだ、とキツくキツく自重し自嘲する。
淡い恋心に蓋をしながら、彼の腕に揺られ私室へと運ばれていく。




そんな二人の姿にほの暗い室内から階下の明るい庭を眺めながら、小さな魔王は鼻を鳴らした。子供でも丸わかりのそれに。


いますぐには、歩み寄れないだろうが、あの二人なら時間が解決してくれる。

「さぁて、キリキリ働きましょうか」


明るい窓辺から一歩踏み出して、鏡面のように磨かれた飴色の執務机に着いた。

手元にある、人の王国からの親書を引き寄せながら。



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あきゅろす。
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