マオユウ
17
話を聞きながら、なんだか都合が良すぎると不安になった。
「…」
「嫌とは言わせない、」
「…いいのか?」
有無を言わせぬ物言いに、彼が 子供の為とは言え 勇者(わたし)を手元に置かねばならないのだ。
風当たりは 相当な物になるだろう
「…」
鎖骨から胸元に触れた指先に、静かに息を詰めた。
ぽわぽわと、水面を跳ねる水滴のような何かを身体の内に感じる。
そして一筋の線を描くように腹部を指し示したあと、胸の圧迫感がふと消えて
「…ぃッ…ぎ」
空腹の胃に無理やり食べ物を詰め込んだような軋むような痛みが下腹部を襲った。
それはまるで月に一度の女性ならではのそれに似て
勇者は卵の転移先を察したのであった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!