マオユウ
13
浅い息をつきながら、
「(つかれたんだ、)」
と勇者は口にした。
旅の道程で彼女は気づいたからだ。
魔族と呼ばれる彼らが人と変わらず生きてる事に、たとえ魔王を打ち倒しても
帰れる望みが酷く薄い事に
召喚と召還。
勇者をコチラに引きずり出すのに、貴重な魔術師が20人、その内の3割が使い物にならなくなった。
人間で魔術を行使するものは少なくないが、王宮に上がれるほどに育てるには馬鹿にならない金も長い長い時間も掛かる。
勇者の召喚は各国の持ち回りで、今の代の魔王を倒すために既に3国が勇者を呼び、
彼らを失っていた。
魔王に屈すれば次を、
魔王と相討ちなら、送り返す手間が省ける。
そして魔王を倒した勇者なんてものは、なかなか得難い『ブランド』だった。
王の都の図書館でややこしい言い回しの他国の歴史書や自国のものを読み漁ったのだ。その中で
還れたらしいとわかった人は、余りにも少なかった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!