黒猫の気まぐれ
3
あれから兄さんだけでなく母さんも帰ってこなかった。
俺は生きるためにどうするか考えた
こんな下町では誰かが養ってくれるなんて有り得ない
かと言って知り合いがいるわけでもない
とりあえず俺は食料などを求め、市場へ行った
フラフラ歩いて、結局盗んだものを持ち帰った
そんなことが何年か続いた
兄さんがいなくなって五年は経ったころ──
出掛けていた俺が家に帰ってみると家から炎があがり、野次馬が集まっていた
「よく燃えてんなぁ」
「けどよ、家の中はカラだったぜ」
「あいつの妹はまだ遠くには行ってねぇはずだ。見つけ出して殺せ。」
ふとそんな会話が聞こえてきた
(アイツ?この家の妹っていったら俺だし、俺狙いか…奈良逃げるのがいいか‥)
幼いながらもそう結論を出し、町外れのほうへと走り出した。
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