敵対関係は美味しい関係なのです。
「カイジ、飯行かね?乗ってけよ」
「…なんで毎日毎日バイト先に来てんだよお前は…!」
カイジに声をかけた男は黒服の運転するやたらと高そうな車に乗っていて、目立つことこの上なかった。
「お前目立つし金銭感覚違うし帝愛だし嫌なんだよ!」
「いいじゃん、奢ってんだし文句言うなよ。
しかも普通だったら食えねぇような料理だぜ?あれ」
確かに和也が連れて行く高級レストランは、いつもコンビニ弁当のカイジにとっては本当に魅力的だった。
しかもただ食い。
「まぁそれは正直…助かってるけどな」
「だろ?さ、乗った乗った」
「ちょ、待てって!」
強引に車に引っ張り込み、黒服に車を出すよう指示する。
こうなってしまってはどうしようもない。
「…くそっ…帝愛の金だと思うとマジで嫌なんだよ…」
「いつも言うよなそれ。気にすんなって!」
そんなことかよ、とばかりに和也は軽く返す。
しかし勿論そんなことではカイジの心は晴れない。
「気にするだろそりゃあ…俺が帝愛大嫌いなの知ってるよな?」
「知ってる知ってる。
カイジのことならほとんどなんでも知ってるさ」
「さらっと気持ち悪いこと言うんじゃねぇよ!」
「でもカイジが帝愛嫌いでも、俺はいいよ」
開き直りやがった!とカイジはげんなりしたが、常に予想の斜め上を爆走する和也はそんなものではなかった。
「だってよ、障害のある恋のが燃えるだろ?」
「百歩譲っても友情だろうが…!」
すかさず突っ込んだカイジ。
しかし和也が本気だと知って青ざめるのは、たったの数分後のことである。
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擦り寄られるのが当たり前な和也は敵対関係のが燃えそう。
カイジは帝愛と和也の間で揺れれば良い。
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