駄犬の手懐け方



「あー疲れた…」

「お帰りカイジ」



バタン。
一瞬の間の後、バイト帰りの部屋の主は扉を閉める。
しかしそれはすぐに侵入者に開けられてしまった。



「どうした?ここあんたの家だぜ?」

「じゃあなんでここに和也がいるんだよっ…!」

「まぁまぁいいから座れよ。狭い部屋だけどな」

「うるせぇよ!偉そうにすんな!」



ひたすら吠えるカイジ相手に、やたらと楽しそうな笑みを浮かべる和也。
この2人の間には特に何がある訳でもなく、ただ和也がカイジを気に入り押し掛けているという状態だった。



「カイジー今日泊まっていい?」

「何言ってんだ…いいから早く帰れよ」

「キキキッ冷てぇなぁ…」



言葉とは裏腹に笑いながら見つめてくる男を尻目に、カイジは煙草に火をつける。


すると、和也が突然パンパンに膨らんだ袋をテーブルに置いた。



「…何」

「煙草。カップヌードル。ビール。あとつまみ色々」

「え、」

「やるよ、これ。
カイジの為に買ってきたんだ。俺こんなもん食わねぇし…嬉しい?」

「………」



返事こそしないものの、まだ長い煙草を灰皿に押し付けて目をキラキラさせながら袋を物色している。
暫く探った後、ビール缶を一本取出し開けた。



「…うめぇ…!ビール…久しぶりだっ…!」

「でさ、俺今日帰りたくないんだよね」

「別に物に釣られる訳じゃねぇが、明日バイトないし泊めてやるよ」



カイジは上機嫌なまま返事をしビールを飲み干す。
続いてカップヌードルとつまみを数種類取出し、てきぱきと並べ始めた。



『駄犬は物で釣れる』
…和也はその言葉を深く心に刻みこみ、これから始まる楽しい時間を思い描くのだった。



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なんだかんだで物に釣られるカイジ。
和也と楽しくお泊まり会!笑



あきゅろす。
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