手を繋ごう
ロックオン=ニール
「…ロックオン」
隣に座る愛しい恋人が遠慮がちに小さく俺の名前を呼んだ。本を読んでいる俺を気遣ってだろう。普通ならば気付かない位小さな声だ(愛しい彼の声に気付かないわけがない)。可愛い恋人の気遣いに思わずにやりと厭らしい笑みが零れそうになる。
「どうした?アレルヤ」
読んでいた本に栞を挟み、可愛い彼へと身体ごと向ける。彼が怯えてしまわぬ様に先程零れかけた笑顔は自分の中へと押し込み、優しい彼好みの笑顔を作る。
「もし邪魔でなければで良いんですが…」
恥ずかしそうに言葉を作る彼が幼気でたまらない。
「手繋いでも良いですか?」
本読んでる途中なのにすみません、と後から付け足す。顔はピンクに染まって、まるで写真で以前見たチェリーブロッサムの様だ。実物は見たことはないが、きっと彼の様に控えめで華麗な花だろう。
可愛いアレルヤ。俺の可愛い子。手を繋ぐ事なんて、了解を得ずとも既に君はその権利を所有しているのに。
「偶然だな、俺もちょうどアレルヤに触れたかったんだ」
そう言って、床に置かれていた彼の手を上から包み込む。
照れくさそうに微笑む彼の姿に、頭の中の何かがぷつんと音をたてた。
手を繋ごう
(手を繋ごう)
(深い深いところ迄繋がろう)
(可愛いあなたの全てが欲しい)
thank you 睦言
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