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弟と一夜を共にする


 
見えない所も気を引き締めていこう!ってことでエロい下着を、黒いTバックを購入した先月。
とりあえず穿いてみたけどなんか面積が狭すぎて落ち着かない、主に股の間が…。なんかこう布が、股の間で擦れていると言うか…とにかく落ち着かない…タンスの下着の段の奥の方にそれを押し込み忘れることにした。

何故私が突然こんなことをしたかと言うと、ハチとのラブハプニングを求めていたからである。だって折角両親いないんだから、姉弟の一線を越えない程度のハプニングは許されると思うんだよね!!一緒に寝るとか!!ハプニングではないけどさ、こういうちょっとしたイベントを必要としているんだよ私は…!一緒に寝る為の口実…一緒に寝てもおかしくない…そんな状況をつくりだすにはどうしたらいいのだろう…



「立花に質問」

「30字以内でまとめるなら聞いてやる」

「弟と一夜を共にしたいんだけど、どう言えばいいかな」

「聞かなかったことにする」

「指定の文字数にまとめたのに酷い!」

「私はそろそろお前の弟の貞操が心配だ…」

「私は無理矢理なんていやだよ!絶対合意の上でするよ!」

「お前の頭も心配だ」

「一緒にお布団でグースカしたいだけなの!上手い口実を考えて欲しい!」

「なんだ一緒に寝るだけか…。」

「あくまでも自然に!」

「じゃあこれを貸してやる」



テテテテッテテ〜!R15指定ホラーDVD〜!
立花が言うにはこうだ。これを弟と一緒に見る、私は過剰に怖がる、とにかく怖がる。演技でいいから悲鳴を上げる。そして夜「一人じゃ寝れなぁ〜い、一緒に寝てぇ〜」と言ってみる。「一人じゃ寝れないなら仕方ないな」とハチが私を布団に誘う!!さっすが立花!私には考え付かないような計算高い作戦を考えてくれる!そこに痺れる憧れる〜う!怖がるフリなんて、ハチを騙すようでちょっと心苦しいけど一緒の布団で寝るためには仕方のないことだ。姉ちゃん、あなたと寝たいの。許してね。


晩御飯を食べた後、早速ハチとDVDを見た。想像より怖かったのもあって私はガタブル震えまくった。ハチの腕にしがみついてみた。その時、ハチの顔が少し赤くなったのを私は見逃さなかった。おっぱいが腕に当たって照れてるのかいハチ?家だからノーブラジャーなのは仕方ないことなの。あててんのよ、と心の中で満足げに呟くとまた壮絶なグロシーン。私はキャ〜とわざとらしく悲鳴をあげた

幸福の二時間はあっという間に終了した。
さて、ここからが本番だ…



「ハ、ハチ…一緒に寝て下さい」

「…!?何言ってんだよ姉ちゃん!!?」



ハチは高校生にもなって、とか色々言ってきたけどここで引き下がるわけにはいかない。今日はお前の布団以外で眠るつもりはないからな!なんだかんだ言っても優しいハチは今回だけだとオッケーしてくれた。やった!!ミッションコンプリート!!ショータイムの始まりだぜ!!



「じゃあ俺、姉ちゃんの部屋に布団持ってくから」

「は…?」

「姉ちゃんの部屋の床に布団敷いて寝るから」

「おまえ何言ってんの?」

「え?」

「一緒に寝るっつったらひとつの布団で二人で寝るってことだろうよ」

「ね…姉ちゃんこそ何言ってんだ!?」



冗談じゃねーぞ!?一緒に寝るって一緒の部屋で寝るとかじゃないだろ普通!ひとつの布団にふたりでギュッギュって入ることだろ!?どういう思考回路してんだ!でもそういうところも可愛くて好きよ…ばかっ!言わせんなよ恥ずかしい!実際くちには出してないけどね

私が目を離した隙にハチが消えてたりしたらどうすんの!?責任取れるの!?とか意味のわからない駄々をこねたら「どうなってもしらないからな」とハチがぼそりと呟いた。多分本人は私に聞こえてないと思ってる。どうなってもしらないって…!?ああんどうにでもしてくれよーーー!!

ハチの強い希望により、私の布団で一緒に寝ることになった。なんでもいま部屋が汚いので入られたくないそうだ…うん?今朝見たときはそんなに汚くなったけどな?まあこの際一緒に寝れればいいよ。ハチの匂いのするお布団でハチと寝るなんて天国だと思ったけど譲ることも大事だよね。うん



「お、おやすみ」

「おやすみ…」



ハチが 私に 背を 向けて 眠りました

一緒のお布団で寝れればいいだなんて思っていた数分前の自分をブッ叩いてやりたいです。現実は非情なものでした。目の前に広がるハチの背中…くそ、意味わかんねーよ!!寝顔を見せてよ!寝息よこせよ!ぺろぺろさせてよ!…ハチがその気なら私だって…!!ふふ、お尻が無防備だぜハッチちゃんよ…その尻、直に撫でられるだなんて夢にも見ないでしょうね…ヒッヒ、姉ちゃんに背中を向けた罰だよ!覚悟しろ!!

じゃ、ねーよ!!
ハチの服の中に侵入しようとした手を戻す。今日の目的はあくまで一緒に寝ること、ただそれだけだ。自分でも言ってたじゃないか、無理矢理はイヤ…合意の上で…と…。私にはまだ人間としての理性が残っていたようだ。ありがとう理性。これからもよろしくね。私はなるべくハチに密着してから、目を閉じた



「ほんと…馬鹿だよな」



ハチがこちらを向いて私の頭を優しく撫でた。その後、唇に柔らかい何かを感じた。それが私の妄想なのか夢なのか、現実なのか…。眠くて区別がつかなかったけど、幸せな気分で心地よい眠りについた


明日は休みだけど、私は委員会で学校に行かなくてはならない。目が覚めたらハチが起きないようゆっくり布団から出て、朝ごはんを用意してなるべく音を立てずに家を出なくちゃ

そう思っていた時が、私にもあったんです



「姉ちゃん、姉ちゃんってば」

「んん〜…ハチ…?」

「携帯すごい鳴ってたぞ、今日委員会じゃないのか?」



ハチに起こされるだなんて今日はイイ日ダナー
って、え?携帯?ああそういえばリビングに置きっ放しに…え…あれ?いま何時?もうお昼?嘘だろ?

幸せすぎて目覚ましも携帯のアラームも忘れてた私はまんまと寝坊、っていうか今から行っても意味ないな。委員会はお昼で終わりなわけだし。リビングへ行き携帯を開くと潮江からの着信が履歴を埋めていた。はは、どうしようかな、絶対怒られるぞこれ、電話したくねぇ〜〜…そう思っていたら潮江から着信。天国と地獄の着信メロディが鳴り響く。私はおそるおそる通話ボタンを押した



「も、しもし」

「バカタレ!!!」

「ヒーーごめんなさい!!」

「いま何時だと思ってんだ!!」

「じゅうに」

「なんで電話にでなかったんだ!!」

「それは」

「休みなら休みで連絡すればいいだろうが!!」

「いやなんていうか」

「心配しただろうが!!」

「ごめんなさ」

「いまどこにいるんだ!」

「い」

「今すぐ来いっ!」



なにこの面白いくらい人の話を聞かない潮江は…
言いたいことだけ言って通話終了だよ、ツーツーとむなしい音がするよ、もうほんと意味わかんねーよアイツ…今すぐ来いと言っていたけど、もう委員会なんて終わってるだろ?なに?説教する為だけに私を学校に呼ぶつもりなの?…まあいいか、悪いのは寝坊した私だし…



「姉ちゃん、電話誰だったんだ?」

「潮江だよ。今すぐ学校来いって」

「やっぱ今日委員会だったのか…悪い、ないのかと思って姉ちゃんがリビングに携帯置きっ放しにしてたの見過ごしてた…」

「いーのいーの、ハチが気にすることじゃないから、ね?」



しゅんとするハチの頭を撫でながら、どうして私の弟はこんなにイイ子なんだろうと思った。潮江には悪いけど、少しでも長い間ハチと一緒にいれて、同じひとつの布団で過ごせて幸せでした…。私が学校へ行く準備を終え、あとはハチのご飯つくって家出るか、とキッチンに立つとハチがやってきて「俺自分で出来るからいいよ」と言った。いっ、いやだぁ!いハチのご飯は私がつくるんだい!



「ホントに大丈夫だって。学校行かなきゃなんだろ?」

「ハチのご飯つくったらすぐ行くから平気だもんよ!」

「はぁ…姉ちゃんのことだからそんなこったろーと思ったよ…」

「なに!?ど、どういう意味なんだそれは!」

「姉ちゃんが準備してる間にこれつくったから、食べて」



えっ!!?私がハチのご飯だけつくったらサッサと家を出ることを見越した上でのオニギリ!?ハチがつくったオニギリ!?ハチが握ったオニギリ!?ハチの手の味がするオニギリ!?調味料はハチの手汗のオニギリ!?これには私もテンションが上がってしまい「わかった行ってきます!!」と元気に家を飛び出してしまった。ルンルン気分でスキップしながら学校へ向かい、潮江に怒られてもニヤけが止まらず、踊りだしそうな気持ちでわざわざ潮江が私の為にと残しておいてくれた仕事に取り掛かった。ちなみに潮江以外の委員の子たちはみんな帰ったそうだ



「なんなんだお前は…来てからずっとニヤニヤニヤニヤと…」

「彼が私に米を握ったこの日を、おにぎり記念日と名付けましょう」

「なにを言ってるんだお前」

「おにぎり記念日は収穫の喜びと、今日というこの日の幸せを噛みしめながらお米を食べます」

(ちくしょう…笑顔で変なこと言ってんのに、手もちゃんと働かせてやがる…怒れねえ…)

「ハッ、どうしよう…色々考えてたら勿体なくて食べれない気がしてきた…」

(手が止まった)

「ど、どうしよう…どうしよう、どうしよう!?」

「変なこと言ってないで手を動かせバカタレ!」

「うるさい!!私はいま重要な分岐点にいるんだ!」

「知るか!!」

「今日の議題!ハチのつくったオニギリを食べるか飾るか保管するか!」

「選択肢がおかしいだろ…食えよ…弟がつくったオニギリを無駄にするのかお前は…」



潮江のくせに正論突きつけやがった



「じゃあとりあえずオニギリ食べるね」

「…さっさと食えよ」



おにぎりの理想形と言えば綺麗な三角。ハチがつくったおにぎりは大きくて丸い、理想とは程遠いものだった。だがそんなことは些細な問題だ。私の腹を満たそうとハチが握ってくれたおにぎりだ。なんだか愛着わいてきた。いけない、これ以上凝視すると情がうつってしまう。さっさと口へ運ぶ!ばくり!!ハチがおにぎりを握っている姿を想像しながら米のひとぶつひとつぶを大事に噛みしめた。舌の上で米がシャキリポンと踊るようだ。私の心も躍る。世界が美しく見えてくる



「握り飯ひとつ食べるのにどんだけ時間をかける気だお前は!」



潮江がなにか言ってきても笑顔で受け流すことが出来る。ハチのオニギリのお陰だよ。やったね!

 



あきゅろす。
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