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姉のせいで馬鹿になる
 

かっこ悪!!

なんだよしゅきらって…一世一代の告白を噛んじまった…無言の名前が気になって顔を見ようとしたら突然俺に倒れこんできた。頬を軽く叩いてみたがなんとも言わない。…気絶してる!?とりあえず名前の部屋の布団に運ぶことにした名前を布団に入れようとした時に思った。名前は学校から帰ってまだ着替えていないため制服のままだ。以前名前がリビングのソファで制服のまま寝ていたことがあってその時母ちゃんが「制服のまま寝たら皺になっちゃうでしょう、着替えてきなさい」と言っていたことがある。…脱がした方がいいよな、制服。皺になったら、困るもんな…。本人が寝ているのをいいことに制服のボタンに手をかけた。ひとつ外すごとに名前の肌が露わになっていく。おほっブラジャー…タンスをよく漁るからブラジャー本体だけは何度も見たことがあったがやっぱ装着してるの見る方が興奮するな…

ブラウスを脱がしいよいよスカートだって時に名前が目を覚ました。一度ゆっくりと目を閉じ、また開いた



「…名前、落ち着いて聞いてくれ…俺は…」

「うわ!うわーー!!」



俺を突き飛ばし名前は布団の中に潜り饅頭みたく丸まった。そうだよな…さっき女として好きだとか言ってきた弟が制服脱がしにかかってたんだもんな…そりゃそうなるな…いやここは多少強引にでも!俺は名前の上に乗っかった。ぐあ、と名前の苦しそうな声がしたが無視した!



「名前!」

「重い!重いよハチ!」

「もう一度俺にチャンスをくれ…告白のやり直しをさせてくれ…!」

「わかったからとりあえず部屋から出て行ってよ!」

「なんでだよ!?」

「服を着るからだよ!」



そんなこと言われたら出て行かざるを得ない…

部屋の前で名前が服を着るのを待つことになった。少しするとガララと窓が開くような音がした。思い切って部屋のドアを開けると名前が窓から逃げようとしていた



「なにしてんだよ名前!?」

「あ、いやその、体が勝手に…」

「今日はぜってー諦めないって言ったろ!逃げてもどこまでも追いかけるからな!」



観念した名前は黙って布団に座り込んだ。さて、告白のやり直しから始めるか…どう言おう、さっきの失敗をなかったことにできるくらいかっこいい言葉を…



「…私、ハチの体操着ハァア〜ってしたじゃない?」

「あっ!?ああ…」



俺が知っている言葉の全てを使って名前への気持ちを文章にしている最中名前が突然言った。
あっお前が声かけてくるから考えてた文章全部飛んじまったよどうしてくれんだ!



「変態だから嗅いだって言ったけど本当はハチが好きだからやったことだったんだ。嘘だったんだよ」

「…はい!?」

「ホラーを一緒に見た日に怖くて一緒に寝てって言ったの、あれも嘘だったんだ」

「ってことは…?」

「ハチとおんなじ布団で寝たいが為についた嘘」



だから名前はひとつの部屋で一緒に寝る、ということに駄々こねてたのか…それにしてもあれが嘘だったなんて信じられない。本当に怖がっているように見えたし泣きそうな目をしていたような気がしたのに…女って怖っ!名前なら許すけど!



「ハチがいずれ私じゃない別の人と幸せになるなら、好きになっても苦しいだけだと思って、この気持ちを隠してたんだよ。気持ちが膨らむのは仕方ないけどこの感情を口に出すことは絶対にしないって。」



好きになっても苦しいだけ、か。俺と寝たくて嘘ついた女がよく言うよ。その考えは俺と似ている、というかほぼ一致していた。好きでいることはやめられないがその気持ちを口にすることは絶対、一生しない、でも止まらなかった



「なのにハチが、好きとか言うから…最後で噛むとか可愛いことしやがるし…」

「あ…あれはちょっと…気合入りすぎて…」

「好きだよハチ、一人の男としてハチが好きだよ。しゅきらよ!」

「だーーーっ!!」



ちくしょう…これから事あるごとに「しゅきら」をネタにされるのか!?でも今はひたすら名前の言葉が嬉しくて嬉しくて涙が出てきそうだった。それをグッと飲み込んで、名前を思いっきり抱きしめた。名前は俺のものなんだ!頭のてっぺんから足の先まで全部が俺の!俺以外の男の、じゃなくて俺の!竹谷八左ヱ門の…!名前がそっと背中に腕をまわしてきた。お、俺は…もう…幸せです…

ここで突然あることを思い出した



「名前」

「ん〜?」

「名前のタンスに入ってる黒いTバック、あれなに?」

「み、見たの…?」

「下着漁ってたら見つけちまったんだよ」

「あれは…その…イイ女になるべく見えないところも気を引き締めていこうと思って…」

「なんでイイ女になろうと思ったんだよ?」

「察してよ…ハチに似合うイイ女になりたかったんだよ!」



ハチに似合うイイ女になりたかったんだよ!
ハチに似合うイイ女になりたかったんだよ!

その言葉だけが何回も頭の中でリピートされた。名前から離れタンスで眠っているTバックを取り出し、本人の目の前に突き出す



「穿いてるとこ見せてくれよ!」

「え!?いやそれはさすがに恥ずかしい!」

「どうしてもダメか?」

「そっそういう聞き方は反則じゃないかな!?」

「名前のTバック見てぇな〜スゲー見てぇな〜〜」

「ダメ!ムリ!今日はもう寝る!」

「えっメシは!」

「一食くらいぬいても死にゃしない!寝るったら寝るんだ!」



名前がダメって言うなら…

残念だがTバック、しばしの別れだ。また会えることを願って…タンスに戻した後、自分の部屋へ向かった。名前が…俺のことを…好き…嬉しくてニヤニヤしながら布団の上でゴロンゴロンした。本当にこれは現実なのだろうか?本当は夢なんじゃないか?眠ってみればわかる!朝起きて着替えていつものように学校に行く準備をして、名前におはようと言って…



「おはようハチ」

「ふぁー…はよ〜」



いつものように可愛らしい笑顔で朝の挨拶をする名前。なんでかスカートちょっと短い気がする。そうだ、俺のこと好きってのが夢じゃないならめくっても怒られないんじゃないか?本当にちょっとした好奇心で名前のスカートをめくり中を覗く。そこで俺が目にしたのは…



「く、黒の…」

「うわ、なんでめくってんの!?やだやめて!」

「Tバック…」

「その、昨日は突然だったから無理だっただけで…心の準備とか色々済んだし…と思って…」

「恥ずかしいっつってたのに、穿いてくれたのか?」

「ハ、ハチが見たいって言ってたから…で、でもね!」



名前は慌てて言い訳を始めた。あれが夢なら、俺に似合う女になりたくて買ったTバックを穿いてるはずがない。俺の為に恥ずかしいのを我慢して穿いてくれてるんだ。俺が好きだと言った名前は現実で…夢でも幻でもなくて…本当に…本当で…



「聞いてんのハチ!」

「キスしていい?」

「は!?」

「昨日したけど、あれは無理矢理だったからさ。こう…合意の上で改めてしたいっつーか…」

「ほんとお前は突然だね…」

「名前が誘ってくるから悪いんだろ」

「はいはいごめんなさいね!おら目を閉じろよ!」

「えっ…名前から!?ちょ、ちょっと待ってくれ俺は…」



最初についばむようなキス。それが段々深くなっていった。昨日と全然違う、なんだ、なんだこれ…!
名前が本当にすぐ近くで唇や舌で俺に触れて、その部分がカッと熱くなって、胸が苦しくなって、その全てが愛しく感じて、ああ俺はもうだめだなと感じた。あんなに一緒になることを望んで、一緒になることを恐れていたのに、こんなにも簡単に名前から離れられなくなった。可笑しい、矛盾だらけで本当に可笑しい。もう難しいことは考えず好きという気持ちに従うただの馬鹿になってしまおうと俺はその時思った。
 



あきゅろす。
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