穏やかな光が辺りを包む昼下がり。ぽかぽか陽気に誘われて外を散歩していた俺は、途中木の幹に背を預けてのんびりしていた。そして俺はいつの間にか眠りに落ちていたようだ。
頬に感じたくすぐったさに瞼を開けば、鳶色の柔らかな髪が視界に映った。静かに寝息をたてるミリィに笑みがこぼれて、俺は読みかけにしていた本を閉じて彼女を抱きよせた。少しだけ身をよじったけれど、彼女が目を覚ますことはなかった。そっとその柔らかな髪に指を絡ませ、頭頂部にキスを落とす。
−−−どうかいい夢をみていますように。
心の中で囁いて、また俺も瞼を閉じる。
そんな日もたまにはいいでしょう。
「馬鹿……タイミング逃しちゃったじゃない」
寝た振りをして驚かそうと思っていたミリィは、小さくそう呟いてから、それでも満足そうに微笑んで今度こそ夢の世界へと旅だった。