♭ロビン(海賊)
地上に伸びた影を見つめてその先に小さく形作った水たまりを見つけた。そう深くもないそれを足で踏みつけたらぱしゃん、と音を立てて水がはねた。
「何をしているの?」
声をかけられて振り返ればロビンが不思議そうに首を傾げていたから俺はなんでもない、とだけ返して彼女の元へと歩みを進めた。雨宿りをしていた大きな木の幹に体を預けているロビンの隣に並んで、俺は屈み込んだ。
「雨になると貴方はそうやってふさぎ込むわね」
「なんかね……雨は嫌いだよ」
でも理由もなく君とこうやって近くにいられるなら雨も好きかもしれない。だけど……なぜだか雨は嫌いなんだ。
どんよりとした曇り空を見つめていれば、ロビンも俺と同じように屈み込んできて俺の肩に頭を預けてきた。少しだけ肌寒い気温と雨上がりの独特とした空気。それでもこうやって寄り添っているのはとても心地がよい。
「じきに晴れるわ」
「そうだね」
「貴方の心もいつか晴れるといいわね」
「……そうだね」
だけどきっと……君がいればいつだって俺の心は晴れているんだ。でもそんな事はきっと言わなくても君は分かってくれて、だからこそこうやって俺の側にいてくれるんだ。確証もないし、確かめた事も確かめる勇気もないけど……肩を通して君から伝わるぬくもりだけはそれを確かに教えてくれる気がした。
雲間からのぞいた太陽が光り出した。
先ほど水をはねた水たまりに光が反射してキラキラと輝いている。
どんなに濡れた天気の後でもこうやって光はさすよ。それはきっと人の心だって同じはず。
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