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♭リナリー(灰男)

 終わりの見えない道を歩く時、人は何を思うのだろうか。
 果てのない暗闇を前にした時、人は何を求めるのだろうか。
 答えを探している訳ではないが、何かを見つけるために人は歩いている。それは意味のない事かもしれない。でも俺にとっては唯一の真実で変えられない願いと光の道。

「何を考えてるの?」
「人生について」
「私の事じゃないんだ」

 不満そうにリナリーはそう呟くとこてん、と頭を肩に預けてきた。こんな所をコムイに見られたら教団内の皆の安眠を妨害してしまうな。でも少しだけ。そう自分に言い聞かせて触れるぬくもりに愛しさを募らせた。

「リナリーは何を考えてるんだ?」
「貴方のこと」
「……」
「どうしてこんなにも貴方が好きなんだろう、って……理由を探してるの」

 でも見つからないの、と呟いて君は悲しそうに瞳を伏せた。何も悲しむ事などないのに。

「俺もリナリーを好きな理由なんてない」
「それってなんだか悲しいわ」
「そう、かな?」

 俺にとっては理由なんて必要なくて……

「リナリーが今、ここにいる事が俺にとって一番重要な事なんだ」

 君は微笑んで、いつまでも側に居ると誓ってくれた。


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