さざ波が聞こえる。
夜の海はどこか怪しげで深く物悲しい。少しでもこの心を乱し、迷ってしまえばさらわれて飲み込まれてしまいそうだ。ふとそんな事を呟いたら隣に並ぶ君はくすり、と笑った。
「飲み込まれても私が救い出してあげるわ」
「それじゃあ俺の格好がつかないよ」
格好つけたいの?と少しだけ愉しそうに君は笑ったから、なんだか悔しくて……だけどいつも君に守られる俺には『君を守る』なんて事言えなくて
「私には貴方が必要だから。失いたくないのよ」
「ロビン?」
「だからどこにも行かないで……行かせはしないわ」
抱きしめられて見つめる海はとても煌めいて……でも美し過ぎるその海は全てを幻に変えてしまったのかな?
抱きしめ返して伝えあったぬくもりは今も消えない刹那の想い。
誓いをたてた神秘の海。
ただ君を愛する。