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永久に(9900Hit)

管理人自爆のため代理リクエスト美佳様。カイル、ラブラブでプロポーズ。
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「好きだ、愛している」

抑えきれない想いを言葉にすれば、お前は顔を赤くしながら微笑んだ。

そして綺麗な声で言うのだ。

「私もですよ、カイル様」

けれど、どうしても言えぬ一言があった。

「私の妻になってくれ」

幾度となく口に出かけても声にならないその一言。

一国の王が求婚すれば、断る事など出来はしない。だが、それでは意味がないのだ。

無理矢理お前を手にいれても、私の心が満たされる事は無いのだから……。

臆病者だと言われる事よりも、私はお前に断られる事が辛いのだ。

お前の心には、まだあの男がいるのだろう。お前の光であった男が……。

「キョウ、君の父上はどんな人だ?」

「父上の事は……あんまり覚えて無いです。カイル様と同じ金の髪がキラキラしてて、空色の目が僕を見ると優しくなるんです」

キョウは嬉しそうに話した。

顔は朧気にしか覚えていないが、抱き締めてくれた温もりは忘れないと……。

「カイル様も……父上と同じで温かいです。カイル様が父上になってくれたら良いのに……」

嬉しい事を言ってくれるキョウを抱き上げ、頭を撫でる。くすぐったいと笑うキョウの目は、母親と同じ赤と紫のオッド・アイ。

「イル様も言ってます。早くタワアンナを作って下さいって……。それって、カイル様が父上になってくれるってことですよね」

イル……お前は子供に何を吹き込んでいるんだ。

「キョウ……その話、ランカは知っているのか?」

自分からではなく、周りからランカへ結婚の話がいくなど、間抜けではないか。その様なこと、なんとしてでも阻止しなくてはならない。

「母上は知りません。イル様に秘密だって言われました。男と男の約束です!」

「……そうか」

ほっとする反面で、自分の想いが周りに筒抜けだったのかと、何だか恥ずかしい。

私は顔に出やすいのか、それともイルが鋭いのか……後者であって欲しい。





キョウを部屋へ送るとランカに飲まないかと誘われた。好きな女に誘われて断る男はいないだろう。

美しい夜空に、好いた女が注いだ酒。自然と速度は早くなる。

ほどよく酔った体が眠りを誘い、ふらりと倒れそうになる。

「カイル様!」

横から出た細く白い腕に支えられた。

普段、服の下に隠された腕が、夜着のため露になっている。一体、この細い腕のどこに私を支える力があるというのだ。

「大丈夫ですか? 貴方様はご自分の限度をご存知だと思っていましたが……飲みすぎのようですね」

確かに、普段より多く飲んだが、それは……ランカ、お前が酒を注ぐからだ。

「少し横になった方がよろしいですよ」

キョウが眠るのとは別のもう一つのベッドへと腰をかける。水を差し出され、一口飲んでから返した。

「ランカ、ここへ座れ」

不思議そうに近付き、隣に座ったランカを抱き締めた。

「カイル様? どうなさったのです」

いつも通りの余裕のある態度……私がせまってもランカだけはなびかない。

そんなにも、お前の光であった男がいいのか? 私では駄目なのか?

「私では……お前の光になれぬのか?」

酔った勢いでか、知らずに声に出していた。

気が付いた時には、腕の中のランカが珍しく驚いていた。そんな顔も美しいな……と頭の片隅で思う。

ふと、嬉しそうにほころぶ。

「カイル様……貴方様は、私の光ですよ。美しく暖かい、太陽の様なお方です」

私の手を取り、ランカは自分の手で包みこんだ。

冷え症だという、少しばかり冷たい手。私と同じく武器を持ち、それでいて美しく小さな女の手。

「私は、何度もカイル様に助けられました。……それは、あの人を想う時もございましたが、今の私が闇に染まらないのは……キョウとカイル様のおかげです」

ふわりと暖かい風に包まれているような、心地好い気持ちになる。ランカの言葉はスッと私の中に入り、溶けこんでゆく。

「私が太陽ならば、お前は月だ。太陽の光を浴びて美しく輝き、夜を照らす」

空いた片手をランカの頬へと伸ばす。自然と笑みが浮かぶのは、相手がお前だからだろう。

「私の隣で永久に輝き続けてくれないか?」

「貴方様が望まれるのならば喜んで」

恥じらいもなく平然と笑顔で返されてしまうと、男である私の立場が無いのだが……ランカの方が一枚上手ということか。

さすがは一児の母。

「愛している、ランカ……」

「私もですよ」

顔を近付けると、神秘的な左右色違いの瞳が長い睫毛に隠されてゆく。

ふっくらとした柔らかい唇に自分のそれを重ねた。

触れるだけの口付け。それですら、心が満たされる。

「正式な妻として、お前を迎えたい。タワナアンナとして、私を支えてはくれないか?」

「それはできかねます」

ランカは小さく首を振った。やはり、私では駄目なのか?

「私に出来ますのは、カイル様を支える事ではなく……カイル様と支え合うことです」

あぁ、そうだな。太陽が無ければ月は輝けぬのだったな。

「ランカ、私と共に生きよ。私という光を浴びて強く輝き続けるのだ」

「はい、我が生はカイル様と共に……」

より強い太陽の光を浴びて、美しき月の女神は輝き続ける。

どちらが欠けても地は闇に閉ざされてしまう。

永久に、共に寄り添いながら昼の光と夜の光はヒッタイトを照らすのだ。



あとがき
*-*-*-*-*-*-*
プロポーズって、書くの恥ずかしい。


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あきゅろす。
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