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第一話
全ての始まり!俺達が学ランレンジャー?!



梅咲はエプロンを身にまとったまま、神蘭学園の中を走っていた。
今は時間帯的に放課後。
教室に残る生徒の数は疎ら。
手にした五つのブレスレットが反応を示す先へ、ただ走り続けた。

事のキッカケは

最近、とみにブレザーを身に纏った生徒が増え出した。
それは、学生ブレザー革命を秘密裏に起こす組織、ブレーザーの仕業だった。
あっと言う間にこの地域一帯の中学、高校の制服をブレザー一色に染め上げた。

残る学園はあとひとつ。
それが、ブレーザー組織に立ち向かう真逆の組織、学生服愛護協会である、神蘭学園だったのだ。

ブレーザーは卑劣な手を使い、能力を駆使して洗脳させ革命を起こした。
抗う者がいれば力ずくでねじ伏せ、嫌がる者に無理矢理ブレザーを着せた。
学ランなどもう着古された昔の制服。
なくなってしまうべきなのだとふれて回る。
学生服愛護協会にはそれが断じて許せなかった。

ブレーザーの組織は頭を筆頭に幹部が4人。
残りは雑魚が多数配属されている。
中には洗脳され我を忘れている者すらいるのだ。

その革命を止めるべく、学生服愛護協会はヒーローを作り上げた。

それが、今梅咲が託されたブレスレットだった。



「!ブレスレットが反応を!」



梅咲が立ち止まった先には二年五組の教室が。
いざ入ろうと近寄った時、ガラリと戸が開いて見慣れた面子が現れた。



「あれ?梅!」

「どーしたの?梅ちゃん、緊急事態?」



それは梅咲が寮長を勤める学園寮の寮生達だった。
吾妻と榊に声をかけられても、梅咲は答えられなかった。



「…まさか…、あんたたちに反応するなんて…」



反応してやまないブレスレットの光を見て、思わず、つい、溜め息をついてしまった。



「梅さん、それ、どうしたんですか?」



学園唯一の女子生徒、寮の紅一点である名前に尋ねられ、任務を思い出す。



「そうなのよ、コレよ、コレ。反応しちゃったものは仕方ないわね、いい?説明するわよ!」

「な、何だよいきなり!」



前フリなしに話し始めようとする梅咲に龍海が尋ねるも虚しく



「あんたたちは今日からブレーザーと戦うのよ!!」



突然、梅咲はそう言い放った。
しかも何て得意気な顔。
一同はキョトンと梅咲を見つめるしかなかった。



「あんた達は選ばれたのよ!学ランに!」



尚も言葉を選ばない梅咲。
梅咲自身も急な事態で頭がついていってなかった。


「ちょ、梅ちゃん待ってよ、どういう事?!」



冷静に話をしようと榊が詳細を求めるが



「戦えって言ってんのよ!」



あくまで梅咲は単刀直入に切り返す。



「た、戦う?」

「いいから早くこのブレスレットを着けて!時間がないのよ!」

「なーんか、わくわくしてきたっ」



そんな事態を一人楽しんでいたのが、吾妻だった。
梅咲からブレスレットを受け取り、ノリノリで腕にブレスレットを装着した。



「そして唱えて!チェンジ!学ランレンジャー!」

「チェンジ!学ランレンジャー!」



その時!
言われるがままに唱えた吾妻の姿が一瞬にして変わった。
吾妻は黄色のスーツに全身を包んでいた。



「え?何?俺どうなった?」



一人事態を飲み込めない吾妻に



「…スッッゲェェ!!」



龍海だけが感激していた。



「…大体把握した。俺は寝る。いや、起きる。」



悪い夢に違いない。
藤堂はそう思いたかった。



「俺もパース。」



そんなのついてけないし
と、榊は梅咲に背を向けて歩き出した。



「ちょっとアキラ!言ったでしょう?あんた達は選ばれたのよ。変わりはきかないのよ!」

「…俺たちしかやる奴がいないなら…しかたないな…」



それを聞いて、今まで沈黙を守り続けていた水瀬が、重い溜め息をひとつついてからブレスレットを受け取った。
変身した水瀬は緑のスーツに身を包んでいた。



「お、俺も、やってやってもいいぜ!」



それを見た龍海も、ワクワクを押し隠しながらブレスレットを受け取り変身していく。
龍海は赤いスーツに身を包んでいた。



「梅ちゃん、頼むから詳しく説明してよ。じゃなきゃムリ。」

「同感だな…。」



ノリ気にならない榊と藤堂。
見かねて、やっと梅咲は冷静さを取り戻し、説明を始めた。



「…わかったわ…」














「…くだらないな…」

「ちょっと設定に無理ない?」

「余計な事は言わないの!」

「ま、いい暇つぶしになるんじゃない?レイ」

「…そうだな…」



二人もブレスレットを受け取り変身した。



「あんた達は今日から学ランレンジャーよッッ!!」

「…スゲェ…」

「カッケェ!」

「いや、ダサいでしょ…」

「…安直だな…」

「…やるっきゃねぇか…」



その現実を、一人名前が必死に受け止めようとしていた。



次回に続け!

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