※ペテン師の弱み(28)
手をのばし、掴む。
でもそれは空を掻いて手応えが無い。
「返して、下さいっ!」
スカ、スカっと何度も空振りをして、何度もそれを取り替えそうと必死になる。
彼の方が身長は低いはずなのだがなかなか上手く行かない。
「仁王くんっ!何がしたいのですか!?」
ついに立ち上がった柳生は無理矢理自分の眼鏡を仁王の手からもぎ取り服で念入りに汚れたレンズを拭う。
机を挟んで向かいに座ってこちらを見上げる仁王をキッと睨み付け眼鏡をかけ直す。
「もう…真面目に勉強してたかと思えば、」
「もう、飽きた。一発ヤらせんしゃい。」
「はぁ?何を言って…っわ!」
眼鏡のブリッジに触れ一言文句でも言ってやろうと腕を組むがさらりと話しをそらされ足を掬われたかと思えばあっという間にベットへ組み敷かれてしまった。
「にに、仁王くんっ!!」
「大丈夫じゃ、今家誰もおらんのでな。」
「そういう問題では…ぁっ」
服の裾から侵入してきた仁王の手に言いかけた言葉を遮られる。
最初冷たかった仁王の手は柳生の体温に馴染み、だんだんと暖かくなっていく。
その手は胸の突起を撫で、摘み、転がす。
「ん、におくん…、やめっ」
仁王の腕を掴み、ぎゅっと握り唇を噛み締め声を抑えるが漏れる吐息はどうしようもなかった。
「ん、んん、ん…っ、は…?」
しつこく胸をいじっていた仁王の手が離れ、服の外へ出ていく。
何があったのかと仁王を見ればさっと眼鏡を奪われた。
それから一瞬にして目の前が真っ暗になる。
頭の後ろでしゅるっという音。
「な…っ!?」
どうやら布か何かで視界を覆われてしまったらしい。
「人間、一つの感覚を塞がれると他の感覚が鋭くなるもんなんじゃよ。」
すぐ近くでそう囁かれたかと思えば服を脱がされる。
「仁王、くん…?ひぁっ!」
いきなり首筋に吸い付かれ自分でも驚く程高い声が上がる。
「ん、ふぁ、あっ…やっ!?」
次に、どこにどう触れられるか分からない。
「のう、柳生?どうじゃ?」
「ぅあっ…な、にが…っ」
「1番得られる情報量が多い視覚を塞いだんじゃ、他の感覚は相当冴えてくるじゃろ?」
「ん、んむ、ふは…ひゃっ…やめっ!!」
啄むようなキスをされ、それが解かれたと思えば次はズボンの上から硬くなりはじめた自身を膝でぐっと刺激される。
「ん、ん、んっ、あ、ぅ」
リズムをつけ、何度も膝を使って柳生を刺激する。
「や、ぁ…仁王、くんっ、おねが…無理っ」
「どうして欲しい?言ってみんしゃい。」
「んん、ぁ…そな、の…ひぁぁっ」
直接的な、確かな快感が欲しい。
揺さぶられるだけの快感では物足りない。
「ん、も…仁王くんっ…触ってくださ…っ!」
焦らされ熱を持て余した身体をどうする事も出来ずに自ら腰を動かし仁王にねだる。
ズボンと下着の中で窮屈さを訴える自身は解放を求め疼く。
そんな柳生の様子を見た仁王は実に楽しそうにニヤリと怪しく微笑む。
「やっぱ柳生はインランじゃのう…。目隠ししただけでこれじゃ。」
「あ、ああぁっ!」
ズボンと下着を下ろされ、待ち望んでいた快感が背筋を駆け巡り、欲望を吐き出す。
「あぁ…はっ、は…ごめんなさ…っ!」
一気に襲ってきた絶頂後独特の疲労感に柳生は完全にベットへ背中をつけた。
直接触られ、ちょっと握られただけでイッてしまった…。
仁王にインランと言われても反論出来ない。
クス、と小さく仁王が笑う気配。
「大丈夫じゃ、何回でもイかせてやる。」
「ちょ、待っ…!」
腰を持ち上げられ、仁王の指が後ろに回る感覚でぼーっとしていた意識が回復する。
流されてしまったが今日はこんなことをしにここに来たのでは無い。
二人で勉強をしようと…――
「ひ、ぁっ!」
柳生の思考回路は仁王の指の侵入により遮られてしまった。
「ん、にお…く、やめ……めかくしっ、とってくだ、さっ…ぁ」
遠慮なく柳生の中を探る仁王の指に遮られながらもなんとか言いたい事を伝え切る。
それでも仁王は反応を示さず、無言で柳生を攻める。
めかくしをされているせいで仁王の表情が伺えず何を考えているかも分からない。
「あぁっ…あ…ん…」
視界を無理矢理遮られたため、仁王の指の動きばかりに意識が集中してしまう。
探るように指を動かす仁王。
「ひゃあっ!やだ、そこっ…やめて…っ!!」
ある一点にたどり着き、そこを集中的に攻められ柳生はビクビクと腰を震わせながらそこにいるであろう仁王にしがみつき、やめてくれと懇願する。
だが意地悪く仁王はそこばかりを執拗に攻める。
「あ、あっ、や、ああ、あっ――ッ!」
仁王のしつこい愛撫によって柳生は自身の先端から白濁した欲望を吐き出した。
本日二回目の絶頂。
「やぁーぎゅ。指だけでイッたんか?しかもさっきイッたばっかりなのに…」
「にっ、仁王くんがっ…!!」
「ん?俺が、なんじゃ?」
めかくし代わりの布をずらされ、覗き込みながらニヤリと笑う仁王にそう問われる。
「―――――ッ!」
返答に困り、息を呑む。
「仁王くんが悪いんです…っ」
なんとかそれだけ言って手元にあった枕をボフッと仁王に向かって投げ付けた。
「痛っ…。」
「勉強、しにきたんです、私は!」
「でもまさか自分だけスッキリして終わるつもりじゃないじゃろうな?」
「………それは仁王くんが勝手に…。」
柳生が仁王のペースに巻き込まれ始めたその時、玄関がガチャリと開いてただいまという女性の声。
おそらく仁王の姉が帰宅したのだろう。
「チッ…いいところじゃったんに……。姉貴に弱み握られる訳にはいかんからのう…めかくしプレイは次回に持ち越しじゃ。」
仁王もそれに気が付いたらしく服がはだけ、自らの体液で汚れる柳生を残してベットから下り、部屋のドアノブに手をかける。
「タオルとってくるからちょっと待ってんしゃい。」
「え、あ、はい…。」
パタンと扉が閉じ、一人部屋に残された。
仁王くんの弱み、は…私だったのでしょうか?
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友達とのメールから目隠しプレイネタ
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