バースデーサプライズ(仁王誕/立海オールキャラ)
12月4日、AM6:00。
場所は立海大附属中学校テニス部の部室。
いつもなら朝練をしている時間だが、今日は一人を除いた立海レギュラー全員が部室に集まっていた。
「柳生、仁王にはしっかり連絡してあるな?」
「はい。今日の朝練は中止だとしったり伝えておきましたよ。」
真田が柳生に仁王がこの場に現れない事の最終確認をして、うむ、と頷く。
「じゃあ、始めようか。」
幸村がレギュラーみんなを見ながらそう一言。
「みんなも知っての通り、今日はうちのペテン師、仁王の誕生日だ。そこで、午後練に現れる仁王へサプライズプレゼントを贈りたいと思う。」
幸村がよく通る綺麗な声でそう言うと赤也が首を傾げる。
「サプライズプレゼント…っすか?」
幸村の言葉を繰り返し、問う。
「そう。サプライズプレゼントだ。そこの冷蔵庫が用意してある。」
幸村が冷蔵庫を見ながら言うと、全員がそちらに注目する。
小さいながらも立派な、部室にある冷蔵庫。
それぞれのスポーツドリンクや昼のために持ってきた弁当などを入れるのに使っている。
「ゆ…ゆゆゆ、幸村くん!そのケーキ食えんの!?後で食う!?」
目を爛々と輝かせ、ケーキという単語に食いついたのはブン太だ。
ごくりとつばを飲み込み、冷蔵庫しか見ていない。
「ブン太?食べたら、イップス。」
ニコッ。
幸村が綺麗な笑顔で言うとブン太はビクリと体を震わせてから、食うわけねぇだろぃ?とフーセンガムを膨らませた。
「で?そのケーキを普通にプレゼントすんのか?」
ブン太の隣でジャッカルが話しを戻そうと発言する。
幸村の事だ。
まさか普通にケーキを渡すだけな訳がないだろう。
「ふふ。よく聞いてくれたね、ジャッカル!」
とても嬉しそうに言った幸村はやはり綺麗な笑顔で、それ故に怖い。
「精市、まさかとは思うが…そのケーキを仁王にぶつける、なんてことは言い出さないな?」
じっと聞いていた柳が深刻そうな声色で幸村に尋ねる。
「…さすが蓮二だよ。俺の思ってる事を一発で言い当てるなんて」
「…マジすか!仁王先輩にケーキぶつけるんすか!?」
ガタガタと大きな音を立てながら赤也が反応した。
「随分と嬉しそうだな、赤也…」
「幸村くん!そんなケーキに申し訳ないことすんなよ…!」
「け、ケーキの前に仁王くんの心配をしてくださいっ!」
楽しそうに冷蔵庫を覗きに言った赤也を見ながら真田がそれをおいかけ、ブン太は幸村に抗議する。
柳生がブン太の服を引っ張り訂正を求めるがケーキの事で手一杯らしく全く聞き入れてもらえない。
柳とジャッカルはその様子を呆れ顔で見守るだけ。
「うるさいよ!みんな。」
ついに幸村が大きな声を出す。
その一言で全員がピタリと話すのをやめた。
「これは仁王の誕生日だ。なにがなんでも仁王にケーキを当てる。いいかい、みんな。仁王の誕生日ドッキリに死角はない!」
「「い、イエッサー!」」
今日最後の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、生徒達が下校や部活動をはじめた。
一足先に部室で待機するのは仁王を除いた立海レギュラー。
大きなホールケーキが部室に用意された机の上を陣取り、その回りでは小さなケーキを持ったレギュラーの面々。
仁王が部室に入って来るのを全力で待機していた。
ブン太の隣では幸村がケーキを食べ出さないよう見張っている。
「柳生、あとどのくらいで仁王がくる。」
真田が尋ね、柳生は自分の懐中時計を確認した。
「あと30秒といったところでしょうか。」
その一言に全員の緊張が高まる。
仁王の事だ。
最初のチャンスを逃したらケーキをぶつける事なんて不可能。
入って来る瞬間が大切だ。
「あと10数秒です。みなさん、待機を!」
柳生が小声で言い、懐中時計を素早くしまって部室の入口を見る。
ガチャリ
「おはよーさん…」
ドアが開き、なにも知らない仁王が部室へと入って来た。
「仁王せんぱああああい!」
勢いよく赤也が飛び掛かりケーキを仁王の顔めがけてぶつける。
そのケーキは見事仁王に命中。
「あ、あかやああああ!なにするんじゃぁぁぁ!」
顔についたケーキを拭いながら赤也を睨み付ける仁王に今度はブン太とジャッカルが突撃。
「このやろおおおお!ケーキにあやまれええええ!」
「誕生日おめでとおおおお!」
赤也に気を取られていた仁王に、二人のケーキは簡単に命中した。
既に顔中ケーキだらけになった仁王に追い撃ちをかけるように次々とケーキが降り注ぐ。
「仁王、お前が愛されている確率は100%だから安心しろ。」
「こんな簡単にケーキまみれになるとは、たるんどるぞ!」
「仁王、生まれてきてくれてありがとうね」
「にににに…仁王くん…すみませんっ!」
顔だけではなく、もう制服までケーキまみれになっている。
「おーまーえーらー……っ!」
うつむき、わなわなと震える仁王にケーキをぶつけた全員が息を呑む。
怒られるだろうか?それとも悲しむだろうか?
しかし、仁王の反応はその中のどれとも違った。
「お前ら、最高じゃき…!」
ケラケラと腹を抱えて笑う。
しかも、とても楽しそうに。
「誕生日、祝ってもらえんもんだと思っとったから、嬉しいぜよ。皆、ありがとう。」
やっと笑いが収まった仁王はそう言って体中についたケーキを見てうわっ…と声を漏らした。
そんな仁王にガバリと赤也が抱き着く。
「せんぱい…っ!」
「っ!?赤也!?そんなことしたら汚れる…」
赤也に引き続き、ブン太と幸村も仁王に抱き着いた。
その重さにたえられなくなった仁王がべしゃりと潰れ、三人の下敷きに。
「く、苦し…なんじゃいきなりっ!柳生、助けんしゃい…!」
助けを求め伸ばした手はしゃがみ込んだ柳生に掴まれてしまう。
柳と真田も仁王の目線にあうようにとしゃがみ込む。
「「HAPPY BIRTHDAY!雅治!!!」」
また来年も、皆で祝おう。
君は一人じゃない。
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立海って動かしにくいですね(笑)
'10.12.4
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