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小説
遠藤(あくてん:雄)



「雄一郎。今日泊まっていいか」

圭介はいつも突然やってくる。
今日だってそうだ
夜中に突然やってきた
運良くこの日は両親が居なくて
泊めてやれたけど
突然は勘弁して欲しい

それに夜中来る場合はだいたい
酒で出来上がってるから
タチが悪い。いや、もう慣れたけども。



さっそく
圭介を俺の部屋に案内してやると
五秒で俺のベッドは圭介に占領された

「...雄一郎、おまえ好きなやつとか居んの?」
俺の布団と一体化しながら圭介が突拍子もない質問をしてきた。

「....いや、とくに。...何で急にそんな話?」
とくに居ないっていうのは、嘘。
ほんとは怜花が好きなんだけど、
圭介も怜花が好きなことくらい知ってる
怜花に心配ばっかかけてるのも
気を引こうとしてるんだろうから
...それくらいは親友だし解る。


「嘘つくんじゃねぇ」
圭介がクッションを俺にぶつけてきた
なんたるムチャブリ
「嘘じゃないし。つかもう寝れば?夜遅いしさ」
俺は笑いながら話をそらそうと努力


「雄一郎の好きなやつを教えてホチィ」
"ホチィ"ってなんだ"ホチィ"って。遠藤か。

「居ないから」
「教えてホチィ」
「いや、居ないから今は」
「教えてホチィ」
「だから、居ないんだって」
「ホチィ」
「.............」


今日の圭介は予想以上にねばってくる。
なんだかめんどくさくなってきてなくもない

...
これはもう、言うしかないのか、
言うしかないのだろうか、
言わない姿勢を突き通してもきっと今の圭介は「ホチィ」の一点張りだろうし........


よし! 言おう!
言ってしまおう!!
男 雄一郎いきます!!


「....まぁ、実はさ、俺.......れ、怜花、の、こと....す、き、っつーか、うん、」
微妙だが言ったぞ
俺は言ったぞ
はぁ、超はずかった
はずすぎる
悪歴史だなこれ。夏越雄一郎、高校時代最大の悪歴史だ。


....
なんだこの静寂は、
まさか修羅場...!!
俺と圭介が好きなやつ一緒だったら
もしそうなら修羅場確定...!?
いや、やだぞ そんなの

.......


「圭介...」
あれ、寝てる。
いやいやいやいや
俺恥ずかしい思いしたのに寝てるだとコイツ
許さん
許さんところで何もしないけど。


........"ホチィ"って使いたかっただけだろ、圭介。


.

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