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とある毒舌家の話
カッシェルと毒舌家
「六助、おい聞いているのか六助」

「・・・返事をしないだけで、聞いていないと決め付けるのは止めていただけますか?大変、不愉快です」

「相変わらず憎たらしいなお前」

「だから何だと言うんです?」

六助がそういえばカッシェルが顔を歪める。しかし六助は気にしていないようで、無表情ながらも少し眉を潜めた。

「トリプルカイツのあんたがオレに話し掛けてくるなんて・・・任務ですか?」

「不可抗力だけどな」

「どんな任務なんです?」

「簡単だ。メルネスを捕らえてヴァーツラフ様の元に連れて来るだけ」

「わかりました」

六助は頷くと、身体中に隠し持っている苦無や忍刀を出してかけていないかを調べる。それは直ぐに終わり、六助は目の前で待っていたカッシェルへと目を向けた。

「さぁ、行きましょう」

「・・・正直な話、俺はお前を連れて行かないといけない意味がわからない。ヴァーツラフ様からの命令じゃなければ、俺はお前を殺している所だ」

嫌いなんだお前が。カッシェルが刺々しくそう言うも、六助の無表情は変わらない。無表情のまま、彼は本当に興味なさげに口を開いた。




















「だから、何なんです?」



















その言葉にカッシェルが小さく目を見開く。六助はそんなカッシェルなんて気にせず、さぁ行きましょう、と繰り返し、先を歩いていく。カッシェルはその場で六助の後ろ姿を見遣りながら、苦々しく吐き出した。

「だからお前が嫌いなんだ」

毒しか吐かないから。相手の厭味も気にしないから。

何より、

「ヴァーツラフ様に気に入られている意味がわからない」

俺の方があの方に尽くしてきたのに。









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あきゅろす。
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