素直
俺が言い終わらないうちに背中に鈍い痛みが広がった
反射的に閉じた瞼を開くと、視界に入って来たのは天井と無駄に整った南雲の顔
「おい・・・何のつもりだ」
「人がせっかく心配してやってるのによぉ。冷たくねぇか?」
心配?コイツが俺を?
「はっ、心配してるようには見えないがな。それより、いい加減手ぇ離せ」
「離したら逃げるだろ?」
何がしたいんだ
コイツはいつも、本当に訳が分からない
俺の事を毛嫌いしているのは分かっている
だから俺も極力近づかないようにしてた
なのに、最近何かと絡んでくるようになった
何故だ?
いくら考えた所で思い当たる事は何も無い
それに今は考える時間さえ惜しい
「こんなことしてる暇ねぇんだよ。さっさとどきやがれ!」
俺が睨んで言えば南雲は口の端を上げ不適な笑みを浮かべた
「そういう気の強い所、好きだぜ。けど、そろそろ素直になれよ?」
言われた言葉の意味を理解する前に
俺の視界は南雲で埋まった
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