タイバニ
I want to behave like a baby to only you
ああ、困った。なんて綺麗なんだろう。
ゴールドステージに相応しい大きなマンションの窓から差し込む朝日のせいできらびやかに輝くブロンドヘアーは彼の美貌を一層引き立てた。ベッドで眠るその美しい相棒の隣が自分という事実に虎徹は優越感を覚えた。彼がこうしてベッドまで誘ってくれるほどの甘い関係になるまでだいぶ時間がかかった。
虎徹は、昨晩の一時を思い出しながらバーナビーの穏やかな寝顔を愛おしそうに眺めた。
「こいつ、全部キレーだなァ…」
片方の手は自分の頭を支えていたので、右手をポンッと伸ばして触った。綺麗で仕方ない髪を触った。触り心地は最高で、香りも自分好み。彼の艶やかなキューティクルは中毒性があるようだ。虎徹は、何度も触っていた。
「………触りすぎ、ですよ…」
「あ、起こしちまったか、わり」
特に悪びれもせず、相手が目を冷ましても気にせず触り続けた。バーナビーは手で口元を隠しながらもう、なんですか、と欠伸を零しながら呟いた。
寝癖ついてんぞ。虎徹はいろんな方向に跳ねたそれを直すように撫でつけた。
バーナビーは暫くおとなしく触られていたのだが、時々、虎徹の視線がバーナビーの瞳をじぃっと見据えたのでつい頬が赤くなった。照れ隠しに少し睨み返した。そして顔を隠したくて、彼との隙間を埋めるように裸の胸に擦り寄った。
「……ちょっと、やめて下さい。ぐしゃぐしゃになりますから」
「バニーの毛ってちょー気持ちいい。……あれ、なんかお前…」
虎徹は体制を変え、今度は肘で支え、両手を自由にしてから襟足から覗く両サイドのブロンドヘアーの毛先をピンと伸ばしてみた。
「髪伸びた?」
「…そういえば最近、美容院へ行ってませんでしたから」
「ああ、忙しかったもんな」
つむじを見つけてちゅとキスを落とす。
掛け布団の中でもぞもぞと動き、虎徹さん…と甘えるような声音を出して白い腕がきゅうと引き締まった中年の身体を抱きしめた。そんな些細な変化に気づいてもらえるとは思っていなかった。苦しいってバニー…と言われるまで力強く抱きしめた。人肌が気持ちいい。虎徹の少し早い心臓の音が聞こえるのが嬉しくなった。
「やっと一緒になれたんですよ…、あなたとずっといたいんです。美容院に行く暇ないです…」
ああなんて口説き文句。どんな顔して言ってるのか真っ赤な耳で想像はつくが、見たくて仕方ない虎徹はバーナビーの耳朶の前で、息を吹きかけるように囁いた。
「なあ…見せてくんねえ、お前の顔…」
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甘えたさんなバニちゃんを書いてみたかったので
こんな感じになりましたー!!
(20130107.葵)