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タイバニ
Your lips are sexy


少しは気を使ったらどうですか。
何かガリッと砕ける音がした。
バーナビーは彼の方を、主に唇を見ながらそう呟いた。すると言われた本人は頭にハテナを浮かべた。なにに気を使うんだよ。虎徹は投げやりに聞き返した。呆れたような表情でバーナビーは自分の厚みのあるふっくらした部分を指で軽く叩いた。

「くちびるですよ」

事の始まりはアポロンメディア社で業務をしていた時だ。はあ、ヒーローがなんでこんなことしなきゃならんのだか。虎徹は薄型のパソコンに電源を入れながら椅子に座った。ああ気が乗らない。隣のハンサムはカタカタと軽快にキーボードを打っていた。

さて俺もやるかなー…。

それはいつもの癖で自分の唇を撫でながら画面を立ち上げ始めるとある事に気づいた。唇の皮が剥がれかかっているのだった。とっちゃうか。だが、少し痛みもあるので手加減してしまいなかなか取れない。んん〜と唸りながら触っていると隣の恋人に何やってるんですかと止められた。

「だめですよ、ああもう引っ張っちゃだめです」

「んだってよお…気になるだろ」

むうと唇を尖らせそれをもう一度なぞった虎徹。バーナビーは椅子から立ち上がった。くるくる跳ねたブロンド髪がふわっと揺れた。やはり気になるようで時々引っ張っる仕草を止めさせて、バーナビーはズボンの後ろポケットから小さいあるものを取り出した。
なんだよそれ。僕愛用のリップクリームです。女々しいやつだなあ…。うるさいですよ。
そんなセリフを交わし、バーナビーは虎徹の目の前に立つと、彼を見下ろす形になった。

「剥いたりしたら尚更出来やすくなります。だから、塗ってあげます」

「それを……バニーが?」

「ええ。嫌ですか?」

嫌っていうか、そういうのって…。そう言う虎徹をよそに提案したバーナビーは思わず口角を上げた。今は琥珀色の瞳に上目使いをされているし、なにより彼の唇は妙に色っぽいので困ってしまう。
骨張った細長い左手は顎髭をくっと持ち上げた。
マジですんのかあと眉を潜め逃げようと首を捻る。バーナビーはそうするだろうと予測していたので素早くリップクリームをしまい、両手でホールドし、代わりにむにっとした自分の唇で塞いだ。可愛いらしい音が響く。

「…ん?!……、っ」

バーナビーは虎徹の唇に触れると舌を侵入させた。歯列を割り相手の舌を見つけ、じゃれ合わせる。粘膜を擦り合わせると虎徹の肩がぴくりと震えた。先程舐めていたのか虎徹の口内はほのかにキャンディのいちご味がした。その甘味を夢中でしゃぶりついた。
社内で、しかも誰がいつ来てもおかしくないというシチュエーションに2人の興奮が煽られる。

「バニ…っ、…ん…ぁ…」

すっとジャケットに手が回せれた。
若い欲望のままに彼の全ての衣類を剥ぎ取ってしまおうかと考えていると、背中をとんとんと叩かれた。それは続きを促すものではなく、制止を願うものだった。
バーナビーはそれが不満で、もっともっとと深く口づけていく。どうせなら、貴方の唇が潤うくらいに。


一通り満足するまで、――どちらの唾液だか分からなくなるまでディープなキスを堪能し最後に形のよい虎徹の唇を舌で舐めあげた。

「…、は…、っ、…なあ、…もしかして、お前…これがしたかった、訳…?」

「……虎徹さんが、かわいらしいので…」

しょうがないですよ。
虎徹はバーナビーのハンカチに唇や首元を拭かれていた。赤らんだ頬のままにこりと笑うハンサムな彼に胸の奥がぐっと掴まれる感覚に陥った。
可愛いなコイツと、つられて笑いかけようとすると、急に凛々しい顔に戻った。

「さ、唇だして下さい」

「って結局すんのかよ!!」

そのエンドレスになりそうな展開にため息をついた虎徹であった。


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初兎虎文^ω^
にしてもなんかただのいちゃこら


(20121112.葵)
再編集
(20130116.葵)




あきゅろす。
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