[通常モード] [URL送信]
感度良好
※アニメ本編無視






以前にも増して、この子は感じやすくなったと思う。

もともと、感受性が強い子だった。生まれ持った才と、深い教養と貪欲なかぎり求め得た知性と、それ故のちっぽけな自尊心は、子供特有の繊細な神経をさらに鋭いものにしていく。痛いくらいチクチク尖っているくせにそれは脆い。彼の幼さがそうさせた。


やっと、やっと手にいれたはりぼての躰。じっと自分の両手を見つめる彼の瞳が、歓喜と戸惑いとで震えていたのをわたしは忘れない。はじめのうちは、バーチャル空間と現実世界のどうしても取り払えない微少なギャップに対応出来なくて、コップを取り落としたり薄い紙片さえうまく掴めないなど、躰が言うことを訊かなかった。すぐに順応したけれど。(そしたら、ぼくは有能だからね、と言った)

それから彼は、空気の甘さを確かめ、花の芳しさを味わい、光の柔和さを感じるように生きた。壊れものを扱うかのごとく、生と対峙した。丁寧に丁寧に生きている。なにごとも過不足なく妥当に、それ相応に。言いかえれば、なにかに怯えるように恐る恐ると。わたしよりずいぶん幼い横顔は、見た目には不相応な悟りで陰っている。小憎らしい文句をひとつふたつ吐いたあとに、ついでにと見せる笑顔が本物じゃないことは、ずっと前から知っていた。それもなにかで覚えたことなの。そうすれば、子供のふりができるって、なにも知らずに生きてる無邪気な子供のふりができるって。本当はガラスみたいに脆いのに、無理に隠そうとして強がってる。

泣きそうな顔しているよ、







「消えないよね、消えたりしないよね。ぼくは消えないんだよね、もう、」

「しないよ」

「本当に?本当に本当?もし、また消えちゃったら、ぼくはどうしたらいいの」





夜が迫ると、彼はひどく不安定になった。む こ う では暗闇なんてぜんぜん恐くなかったのに。こ っ ち の闇は重いんだ、とわたしの膝にすがって、はらはらと涙を流す。昼間のうちにちり積もった不安が、堰を切って溢れるようだった。一度はじまれば、疲れて眠るまで彼は泣き続ける。じんわりと膝が生温くなっていくのが分かった。
しゃくりをあげて上下する小さな躰を、わたしはただ手で擦ってあげる。それしか出来ない。


感度
良好










メンタル弱すぎる乃亜
もっと強い子だけど、
アニメでも生きてて欲しかった…


あきゅろす。
無料HPエムペ!