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「わたくしを将とお迎えになる、そうおっしゃるのですか」


くつくつ、とその人は曹操を見据えながら喉の奥で笑った。


その人は、主である姫君を守るため、捕縛を受けた。

ただひとり、要塞に残り姫君を逃がし、返り血を浴びたその人に、捕縛を受けるならば姫君の追撃を中止すると脅して。

その人は、白皙のかんばせの、それはそれは美しい若武者のたたずまいであった。
が、捕らえたときに目にした四肢の細さに驚き、またその人が男ではなく女であると知ったとき、曹操は驚いたものである。


「・・・結構。5か条の条件をお許しいただけるなら、お受けしましょう」


今、縄を振り払い、兵を振り払い、目の前の男の首を取る。彼女にとってできなくはないことだった。けれど。
その後、姫様は? 胸にひっかかりを覚える。・・・ならば。


「ひとつ、わたくしの心は差し上げられぬ」


ざわり、と居並ぶ曹操の臣下たちがざわめいた。
納得のできぬことはせぬ。民をむやみに殺すこともせぬ。


「2つ、わたくしの忠誠も差し上げられぬ」


曹操の口元がゆがめられる。
あくまでも、主はかの姫だということか、と。

 

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