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GANTZ長編小説
懊悩
羅鼎院の崩壊のニュースで盛り上がっている教室で一人、玄野は机に突っ伏していた。

加藤も岸本も死んだんだ。

身体中の水分を出し切ったんじゃないかというくらい泣いたのに、思い出せば未だに涙が出た。


ヒーローなんて存在しない。…少なくともオレじゃない。



鬱屈とした気分のまま立ち上がり、トイレに向かおうとすると下半身の痛みに玄野は眉を寄せた。そういや、この問題もあった。

昨夜、西とセックスをした。…いや、レイプというのかも知れない。

普通の精神状態ではなかった為か、記憶はチーズの穴のように凸凹だったが、痛みがちゃんと証明している。

あれは一体何だったんだろう。

玄野はあの行為の後、しばらく気を失っていた。目を覚ますと下半身が血だらけだったが、どうもせず、というよりどうする事も出来ずにスーツを着直し、雨の中、肉体に鞭打って自宅に戻った。

その時、西はいなかったと思う。

意識も記憶も曖昧だったが、間違いないだろう。
玄野はため息をつく。
もし、あの時落ち着いてたら。玄野は西とセックスなんてしなかった。西が襲って来たとしても、抵抗しただろう。わずかではあるが体格で勝る玄野が本気で抵抗すれば組敷かれる相手ではないのだ。

じゃあ、西だけが悪いのか?あれはレイプだったのか?

その考えに至ると玄野は答えが出なかった。身体から力が抜け、前後不覚だった状態の時に襲われたのだから、そうかも知れない。

だが、途中から玄野が痛みを望んだのは確かだった。

玄野は思う。あの痛みがなかったら、今でも正気でいられただろうか。わからない。

行為の最中はただひたすら加藤と岸本を想っていた。ただ、西に貫かれて頭が真っ白になる程の激痛を感じた一瞬だけ、玄野は西を視た。苦し気に眉を寄せて、額から汗を流す西がいた。

西はどういうつもりなんだろう。

そしてオレはなんて事をしてしまったんだろう。玄野は笑うしかなかった。童貞喪失の前に処女喪失したのだ。しかも、相手は中学生だ。どういう経緯があったにせよ、ショックだ。



そして、玄野が懊悩し続けた数日後、転校生がやって来る。



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あきゅろす。
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