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GANTZ小説
おはようございます。ご機嫌いかが?(映画:西玄)
その時の玄野は酒臭かった。

玄野の家の前で膝を抱えながら彼を待った。
既に辺りは真っ暗で砂利を踏む音すら大きく響きそうなほどの冷え込みだった。しかし、今から誰もいない家に帰るのは癪だ。鼻をすすっていると、ようやく待ち望んだ声が聞こえた。

「西くーん…うぃー」

「…」

お呼ばれしたわけではなく、完全に自分が勝手に来ただけなのだが、寒空の下、数時間待ってた奴に対しての第一声がそれか。と苛つきのままに脇腹に一発入れてやろうと立ち上がった瞬間、視界は黒に塗りつぶされる。
「うひひひ…西くーん…」

この身体にかかる重さを想像したことは幾度とあった。だが、実際は想像より幾分軽いと思ったのが最初の感想だった。


「就職先が決まりましたぁ〜パフパフ〜」

「…」

玄野は部屋で缶酎ハイを飲みながら、けらけら笑いながら何度も報告する。
それだけに留まらず抱きついてくる始末だ。普段から想像もつかない有り様だった。

(別に悪くないけど)

そんな玄野に当てられてか、つい西も普段なら到底言いもしないことを口にしていた。

「…おめでと」
すると玄野はきょとんとして、にへらっと笑った。

(しまりのない顔)
すると今度は西がきょとんとする番だった。

キスをされたのだ、頬っぺたに。玄野は相変わらずしまりのない顔で笑っている。

想像よりも薄い唇に西の中で隠れていた(隠していたともいう)自分の影とでもいうべきものがにゅっと姿を現し、気付けば視界には玄野とフローリングと玄野を間に挟んだ自分の腕しかなかった。

「玄野」

焦がれるように名前を呼んで白い首筋に吸い付いた。
止める気もなく首筋のボタンを外そうと少し腰を浮かせて愕然とした。

(タイミング悪…)
玄野は気持ち良さそうに寝息をたてていた。
西はため息をついた。



(…あれ?西?何でいんの?)

(…そこからかよ)

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