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GANTZ小説
あれは君が死んだ音(西玄)
ザーッと止むことのない雨を眺める。

最近の天気はおかしい。茹だるような暑さが続き、突き抜けるような青空が広がっているかと思えば、数時間後には雨雲が立ち込め、雷鳴を轟かせながら、恵みとは思えない量の雨を降らす。

部屋の中はむーんとした湿気に包まれていた。
扇風機の機械音が止めどなく流れる。

(今日はガンツの集会は中止だな)

その事についてのメールを一斉送信した。

ザーザーザーザー(ピチョン)ザーザーザーザー(ゴォーゴォー)ザーザーザーザー(カッ)ザーザーザーザー(ゴォンッゴロロッ…)ザーザーザーザー

「…お盆ってさ、地方や宗派によって形は違うけど、ようは先祖の霊が子孫のもとに訪れるんだよな」

ザーザーザーザー(ウィーン…)

「それってさ、先祖だけなのかな」

玄野は西を見た。西は床で寝ている。

(…よく人ん家で、これだけ寝れんな)

実は西は自宅よりも玄野のアパートの方が寝付きがいい。でも当然、玄野はそんな事知るよしもない。

玄野は扇風機を西に向けて固定した。

玄野はまた雨に視線を戻す。

ザーザーザーザー(カッカッカッ…)

(…)

玄野の視界が真っ暗になった。
いつの間に起きたのか、西が手で玄野の視界を遮っていた。

「何だよ」

「死んだ奴等のこと、考えてただろ」

視界を遮りながら、西が片方の手で肩を押さえてくる。

「…お盆だからな」

(さすがに死んだ奴等、全員は覚えてないけど)

「来ねーよ、ここには」

(来てもオレが追い返す)

「何でだよ?」

「…ここには精霊馬がないからな」

(だから、オレのことだけ考えてろ)

「あぁ、確かに…」

「だから、寝ろ」

西が玄野の腕を引っ張り横たえた。
自分も隣に寝転がる。

(「だから」って何?)

でも玄野は全部が面倒くさくなった。誰も来ないなら、確かに窓辺で待ってたって仕方ない。

扇風機の風が西だけではなく、自分にも当たることに気がついた。(近い)

ザーザーザーザー(ブーン…)

西はもう眠ったようだ。いつもの血が通ってるとは思えない白い顔だった。

(死んでるみたいだ)

玄野は、はっと気付いた。

(お前が来たんだな)

玄野は西に手を伸ばして、髪を撫で上げた。

ザーザーザーザー…

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あきゅろす。
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