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dream
同じ場所で/後藤ドリ



「やっと後藤真希の復活だね。」





ちゃらりとシルバーアクセが音をたてた。

隣りに立つパンク系の格好をした少女は一見すると少年にも見える。

私の幼馴染みであり・・・移籍した事務所の先輩に当たる葵。





「あはは、もう緊張しっぱなし。」

「ごっちんなら大丈夫だって。ただ事務所がかわっただけなんだから。」





葵はにかっと笑って私の頭を撫でた。

年下なのに私の方が子供っぽい。

まぁそれが私達なをだけどね。




スタッフさん達が忙しく動いてるステージ袖で私達はそうしていた。

私の出番はもうすぐ。

多分葵は私の緊張をほぐそうとしてくれてる。

ホント、優しいヤツ。





「何処に居たってごっちんはごっちんだし、俺は俺。それはかわんない。」

「葵?」

「同じ場所に、やっと立てるんだ。これから・・・。」





スッと真剣になった葵の表情はカッコ良かった。

そんな葵に魅入っていると、スタッフさんが私を呼びに来た。

葵が笑って背中を押してくれる。






「ほら、行って来なよ」

「・・・うん。」

「・・・・しょーがないなぁ。じゃ、おまじないな。」

「え?」




ちゅっ。

額がほんのりと温かい。

驚いて葵を見れば、ちょっと頬が赤くなってる。




「大丈夫。俺も、傍に居るから、さ。」

「・・・うん。さんきゅ、葵。」






一度ぎゅっと抱き着いてからステージの方へと向かう。






額に残る仄かな熱を想いながら、私はスポットライトが照らし出すステージへと歩みだした。






END.
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あきゅろす。
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