dream
猫ふたり/田中ドリ
『れいなってやっぱり猫だよね。』
よくメンバーに言われる一言。
まぁ自分でもそう思うけん、別に気にしとらん。
というか逆に嬉しかったりするんやけどね。
「なーにをニヤけてるんだお前は。」
は、いかんいかん。
知らん間にニヤけていたらしい。
しかも目の前の人物にそれをガン見されたとは。
「恥かしいやっちゃなー。」
『なっ!酷いっちゃ葵姉ちゃん!!』
口端をひくつかせてこっちを見るのは、れなのお姉ちゃんーー田中葵。
れなの・・・一番大切な人。
「家の中だからってそんな顔するなよなー。姉として恥かしいぞ妹よ。」
『い、家なんだからいいっちゃろ?』
「そりゃそうだけど、ちったぁ引き締めとかないと。ま、れいなのリラックス出来る場所になれてるんなら嬉しいけどな。」
『葵姉ちゃん・・・。』
さらっと、そんなことを言う葵姉ちゃんはカッコ良い。
幼い頃かられなの事を大切に想ってくれてて、何時でも助けてくれた。
れなの前じゃこんなんだけど、人前じゃクールな少年って感じ。
れなと違って人に懐かない孤高の猫ってイメージ・・・と、絵理とさゆが言っとった。
後藤さんに憧れたのは、そんな葵姉ちゃんに似ていたからかもしれない。
後ろから腕を伸ばして葵姉ちゃんに抱き着く。
顔を肩の辺りに埋めると、葵姉ちゃんがフッと笑ったのがわかった。
「甘えん坊め。」
『甘えん坊で良いもん。』
「ふはっ。ったくしょうがないなぁウチの妹は。ほれ、おいで。」
ひょいっと葵姉ちゃんが広げた腕の中に転がり込む
抱き込まれてぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。
そうしてもらうのが、れなの一番のお気に入り。
お礼の気持ちを込めて葵姉ちゃんのほっぺにキスした。
「・・・れいな」
『にゃ?』
「お前ってばマジ猫みてー。・・・可愛いなぁもう!!」
『うにゃ!!?』
れなの髪に鼻を埋めてくる。
ぐるる、って葵姉ちゃんが喉を鳴らす音が頭の中に響く。
・・・れながこれに弱いの、知っててやっとるとね?
こうされたられなの負け。
くすぐったいし反撃できないから、もう葵姉ちゃんのされるがまま。
ちうー、なんて可愛く額にキスされて。
あぁ ・・・絶対今、顔真っ赤。
「愛してんぞ。我が愛しの妹よ。」
『れなも葵姉ちゃん大好きやけんね。』
普段はクールだけれど妹想いな猫と、姉が大好きな恥かしがり屋の子猫。
今日も今日とて同じベッドで丸まって、同じ幸せな夢を見る。
すやすや眠る猫ふたり
唯々大切な君と 大切な時を抱き合う。
Fin.
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