テイルズオブlong
始まり
太陽はいつもいつも人間達を照らす。
悪事も何もかもを、照らし出してしまう。
「…はぁー…。」
今、溜め息をついたのはリッドという青年。
現在、引きずられる形で移動している。
なぜ引きずられているか。
それは、一時間程前のことだ。
「ねえリッド、今暇でしょ?買い物に行こうよ!」
この女性はファラ。
リッドとは幼なじみというやつで、人助けをする事がほぼ日課になっていた。
リッド「はあ?めんどくせーなあ…」
ファラ「まあまあ、そんな事言わずにー!」
リッドはやる気が起こらないので、断るつもりだったが、ファラがあまりにも必死に頼むので、まあいいかと諦めたのだ。
そして、街に出てはみたものの、リッドはファラの目を盗み、こっそりと抜け出して草むらで昼寝をしていたのだが。
運悪くファラに見つかり、小言を散々言われた挙げ句川に落とされ、殴られて、そして、家まで引きずられているというわけだ。
リッドは、少し疲れ気味の顔で、ファラを見た。
ファラは頬を膨らませ、眉をつり上げていた。
明らかにファラが怒っているとわかったリッドは、どうしたものかと頭を使うのだが、良い案などそうそう思い付くわけがない。
家までの辛抱だな、と諦めて、ふと視線をずらせば、魔物がこちらをじっと見つめていることに気付いた。
リッド「…何だアイツ?」
ファラは全く気付いておらず、リッドの悪口をぶつぶつと呟いている。
そっとファラから離れ、魔物に近寄ったリッドは、いきなり魔物が飛び出してきたので、驚き、その行く先を見て思わず走り出した。
リッド「ファラ!!」
しかし、少し及ばないスピードでファラを助けられるはずもなく、魔物は既に腕を振り上げていた。
―ドゴッ
鈍い音がして、吹き飛ぶ身体。
リッドはその様子に唖然とした。
「大丈夫か!?」
ファラの前に庇う様に立つ青年が言う。
彼の名はアスベル。
魔物が腕を振り上げた時、ファラの前に素早く立ち、止めたかと思えばすぐさま蹴りを繰り出し、魔物の巨体を吹き飛ばす程の力を持っていた彼は、騎士団に入っており、守ることにただならぬ執念を抱いている。
キラキラと希望に満ちた大きな目は、正義を語っているように思えた。
そして彼は言う。
アスベル「悪いが、君達に頼みがある。」
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