誇りを胸に掲げて
世界を知る。
次の日。
「今日また、先生が診にきてくれるから。それまで大人しく寝てなさい。」
朝食の後、そういわれ大人しくベッドで横になっていた。
熱は少し下がったが、咳が相変わらず酷い。
結局、寝たら元の場所に戻る・・・なんてことはなく。また同じ天井を見ることとなった。
さて、どうしたものか。
トリップしてしまったというのはわかるが、ここが何処なのか、時代は、自分が何物なのかがイマイチ解っていない。
とにかく今は情報集めが先決だ。
そのためには早く風邪を治さなくてはならない。
咳をしながら、ぼぉっとする頭でいろいろ考えていた。
その時、
トントンと扉を叩く音。
「あ、はいっ!今開けまーす。」
お母さんが扉を開ける。
「こんにちは。」
お父さんではない、男の人の声がした。
「こんにちは、イェーガー先生、ご足労感謝いたします。」
・・・イェーガー先生?
「いえ。体調はどうですか?」
「熱は少し下がったようですが、咳が酷くて・・・。」
そんなお母さんとイェーガー先生の会話を聞きながら、考える。
「イェーガー」って・・・、まさか・・・。
話し終わったのか、イェーガー先生はこちらに近づいてくる。
「アルトちゃんだね。」
先生はベッド横にくるとしゃがみ、手を出してきた。
「グリシャ・イェーガーだ。よろしく。」
その風貌や声は私の知るものと全く同じで。
・・・そうか。
この世界は。
―――――進撃の巨人か。
死亡フラグが立ちました。
神様は意地悪だ。
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