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02-2
「紅、紅?」

「─…ん、せ…い?」

「起きて、紅」

うっすらと開かれる紅の瞳が、青を映す。

「起きた?」

「ん……」

紅は瞼をこすりながら、青と同じように、ベッドから上半身を起こした。
いつものように時計に手を伸ばそうとして、そこにない事に初めて気付いたようだ。
きょろきょろと、紗幕に覆われた天蓋付きのベッドを見渡し、困惑ぎみに紅が問い掛ける。

「青……ここ、どこ?」

寝ぼけ眼は完全に開いていた。

「判らない。僕もさっき目が覚めたばかりだし……」

「そっか」

紅は紗幕を開き、裸足でベッドを降りる。
こういう時の紅の行動力を、青は羨ましいと感じる。
ふかふかの絨毯の上を、白い足が踏む。
窓辺まで近付き、空を見上げた紅は、あっと声をあげた。

「どうしたの?」

青は慌てて紅の元に行く。

「あれ、見て……」

と、紅の差す方に視線を向けた青は、驚愕に眸を見開いた。

「月が……ふたつ?」

何者にも侵されない青銀の澄み渡った月と、金朱の柔らかな輝きを放つ月。
こんなのは知らない。
自分達の世界には、月はひとつだけだ。
だが、目の前にある風景には、黄金色に輝く見慣れた月の姿はどこにもなかった。

「なに──これ……」

呆然とした紅の呟きが、青の耳を通り越していった。







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あきゅろす。
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