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01-3
外の様子が気になって、窓に視線を向けたイシュヴァルトは、そこに見える双子月を目の端に捉えて驚いた。

「……月が」

「なんと……」

クレウィーアも驚愕の声を上げる。
あれだけ禍々しい色に染まっていた双子月が、普段の美しい姿に戻っていたのだ。
やはり、あれは予兆だったのかもしれない。
脳裏を掠めたものは、もしかしたら間違いではないのかもしれない。
イシュヴァルトの中に、確信めいたものが育ち始めた。

「失礼致します、陛下」

入室を知らせる掛け声と共に入ってきたのは、将軍職に就いているリードグレンだった。

「リードグレンか」

どうやら、調査に向かっていた各隊から上がってきた調査結果を報告しに来たようだ。
リードグレンは、イシュヴァルトとクレウィーアしか執務室に居ないのを確認すると、がらりと口調を変えた。

「お察しの事だとは思うが、調査に出していた兵が帰ってきた。人的被害は勿論、現時点では城内城下共に建物などの被害はなし、との事だ。ただし、夜なので細部までは確認できてはいない」

国王に対して随分と砕けた口調にクレウィーアは眉を顰めたが、イシュヴァルトは咎めることなく頷いた。

「そうか」

やはり、考えていた通りのようだ。

「日が昇ったら、再度調査に向かわせる」

「──ああ、頼む」

「それと、こちらの方が問題なんだが……」

「なんだ」

イシュヴァルトは、どこか言い難そうにしているリードグレンを促した。
顎に手をやってさする仕草は、リードグレンが本当に困っている時に見せる仕草だ。滅多に目にするものではない。
そのくらい重大な事が起こっているのだと、イシュヴァルトは気持ちを引き締めた。

「神殿に…人が倒れている、しかも、二人」

「なんですって? リード、貴方はどうしてそう大事な報告を後に回すのですかっ」

今までイシュヴァルトの横に控えて黙って話を聴いていたクレウィーアが、思わずといった感じで声を荒げた。
それも当然だろう。
被害状況の報告も大切なものだが、身元不明の人物が城内に侵入しているという、こちらの方が重大事だったのだから。

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あきゅろす。
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