序章-2
「大丈夫?」
「…うん」
ほっと安心した紅に、ぐったりと体を預けた。
「ごめん……」
起こしたくなかったのに、結局起こしてしまった。
青は申し訳なさでいっぱいになった。
「何謝ってんの。ほら、もうベッドに入って」
迷惑を掛け通しの紅に、青は素直に従った。
ゆっくりと紅の手を借りて立ち上がり、ベッドに戻ろうとした。
グラ…。
「なに!?」
「地震だ!!」
足元が急に揺れ始め、紅と青は立っていられなくなり、床に座り込んだ。
揺れは酷くなる一方だった。
紅は咄嗟に青から離れると、サイドテーブルに置いてあった予備の喘息の薬を取りに行った。
這うようにして青の元に戻り、吐き気を催す程の激しい揺れに、ふたりはしっかりと抱き締めあった。
ズ……
刹那、ふたりの足元の床が崩れ去った。
「青!!」
「紅!!」
紅はしっかりと青を抱き締める。
青も紅を離すまいと、その腕に縋り付いた。
ズン!!
闇の中、ふたりはどこまでも落ちて行き、やがて、ふたりは意識を失った。
街は何事もなかったかのように、静かに寝静まる。
ふたりが消えた部屋の窓からは、ぽっかりと赤い月だけが覗いていた……。
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